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  • 2020/12/04

「採用コンテンツ」とは何か? 求職者が企業に求める情報を解説

戦略的な採用活動に勤しむ企業では、自社の持つ価値観や取り組み、一緒に働く仲間の紹介など、採用に関する情報(=「採用コンテンツ」)を上手に発信することで、自社の求める人材からの応募を増やしたり、採用者の入社後の定着や活躍を実現したりしています。戦略的な採用活動に欠かせない採用広報において、実際にどんなコンテンツを配信することが有効なのか、採用コンテンツの作成から発信手法、企業事例までをまとめて解説します。

リープフロッグ CEO/採用広報コンサルタント 松田純子

リープフロッグ CEO/採用広報コンサルタント 松田純子

「広報の力で企業競争力をアップする」広報コンサルティング会社LEAPFROG 代表。「広報の目的」=「企業成長」と捉え、伴走型、人材育成型による広報組織の立ち上げ支援を実施。専門は、経営戦略と連動した広報戦略の全体設計、企業成長に資する採用コミュニケーション、社内コミュニケーション施策の設計と実行支援。早稲田大学卒業後、大手人材会社、エン・ジャパンでの求人広告コピーライターを経て、ITベンチャーのワークスアプリケーションズ、博報堂系デジタル広告会社スパイスボックスなどで15年以上にわたって広報業務に従事。一貫してコーポレート、採用、社内コミュニケーションのすべてに関わりビジネスゴールの達成を支える。2018年にスパイスボックス経営戦略室マネージャーに就任後、2019年より現職。LEAPFROG Webサイト

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「採用コンテンツ」とは何か?
(Photo/Getty Images)

「採用コンテンツ」とは何か?

 採用コンテンツとは、企業が採用広報や採用ブランディングを目的に発信する採用関連情報のことを指します。

 2020年初頭から拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)により、昨今の求人数は右肩下がりの傾向です。そのため、多くの企業では採用を厳選するようになり、本当に採用したい人材にターゲットを絞った的確かつ効率的な採用活動を行う重要性が高まっています。その意味では、採用広報の必要性が増していると言えます。

 一方で、人材市場はこれまでも長く「売り手市場」が続いており、すでに多くの企業が自社の認知や求職者の志望度向上のため、採用広報、採用ブランディングに取り組んできました。

 こうした企業は、求める人材の獲得に向けて、自社HPや自社採用サイト、「Wantedly」、「note pro」などの情報プラットフォーム、SNSなどを上手に活用して多くの採用コンテンツを発信しています。発信する内容は、自社の持つ価値観や取り組み、一緒に働く仲間の紹介など、採用ターゲットが働く会社を選ぶ上で魅力に感じる情報です。

 企業は、採用コンテンツを上手に設計し、ターゲットに向けて的確に発信することで、「自社のカルチャーに合う優秀な人材」に自社の魅力に共感してもらい、入社時や入社後に定着して活躍してもらう狙いがあります。

 採用コンテンツの主なターゲットは、就活中の学生や若手社会人です。彼ら彼女らは経験に基づく市場や企業、仕事などの詳細情報を持っていません。そのため、それらの情報を直接入手できる人脈も少ない人材にとっては、企業“発”の情報は貴重なのです。

 こうした採用コンテンツの発信は、人事担当者が従業員と協力したり、広報担当者が加わったりすることが一般的です。

企業が積極的に採用コンテンツを発信する背景

 採用コンテンツを発信する企業は、右肩上がりに増加しています。2012年にスタートしたビジネスSNSの「Wantedly」を例に挙げると、2014年頃から急激に利用社数を伸ばし、現在では3万5000社もの企業に利用されています。また、メディアプラットフォーム「note」でも、さまざまな法人が採用広報に関する情報発信を行っています。

 2019年3月には、法人がnoteで情報発信できる「note pro」がローンチされました。2020年10月時点で約1600件の法人がnoteやnote proを利用しています。また、採用広報の用途には限りませんが、その投稿総数は1万8000件にも上ります(2020年5月時点)。

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2020年5月時点でのnoteの最新状況

 採用コンテンツの発信量が増えている背景には、「情報環境の変化」と、それに伴う「採用ゴールの変化」、「採用手法の多様化」などがあると考えられます。

 ここ20年ほどで、私たちを取り巻く情報環境は大きく変化しました。筆者が就職活動をしていた2000年頃は、会社説明会のお知らせが「ハガキ」で来ていました。当時は、企業が求職者に提供できる情報量は極めて限定的でした。

 その後、2000年代前半からインターネットが普及しはじめ、スマートフォンやSNSの登場したことで、変化が加速しました。今では企業と求職者の双方が、画像や動画を含めたリッチな情報を「いつでも、どこでも、手軽」に受発信することができます。以前は、採用系のナビサイトなどに頼らざるを得なかった企業でも、今では自社サイトや「Twitter」などを使って、求職者向けに自由に情報発信ができるようになっています。

採用活動自体も変えた「情報環境」の変化

 かつて限られたリソースで企業の魅力を伝える必要があった時代には、企業が自社の情報を発信することも、求職者側が受け取ることも困難でした。

 この時代の採用活動は、ナビサイトやエージェンシーを使って、できる限り多くの人を集め、その中から面接などでふるいにかけて自社に合いそうな人材を探し出す手法が一般的でした。当時の採用担当者の一番のミッションは「頭数の確保」だったのです。

 しかし、今は誰もが手軽に情報を受発信できる時代になり、さらに働き方の意識改革もあって、はじめから採用ターゲットを集めて採用するという考え方にシフトしています。

 その考えに基づいた採用活動では、「自社の求める人材像(採用ターゲット)」を明確にし、彼ら彼女らに響く情報や、会社に対して正しい認識を持ってもらえる情報(=採用コンテンツ)を届けることから始まります。それにより、採用活動の最大の課題である「入社後のミスマッチ」を防ぐことができます。

 また、企業側の採用活動のゴールは、単に「入社させる」ことから、「入社後に定着して活躍してくれる人物を入社させる」ことへと変化しています。豊富な情報発信によってそれが可能となってきました。企業は、このゴールを目指して適切な採用コンテンツの発信量を増やしているのです。

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アドビ(旧マルケト)が定義する採用ファネル。これまでの採用コンテンツは図の左側部分の「行動変容を促す」ことのみを目的としていたが、現在では、従業員のエンゲージメントにも寄与するようにコンテンツの質と量が変化してきている
(出典:マルケト

 さらに、現在は、一度自社を退職した人を再度従業員として迎える「アルムナイ制度」や、自社の従業員や退職者などから紹介してもらう「リファラル採用」など、採用手法自体も多様化しています。それぞれの採用手法をより効果的に運用するためにも、採用コンテンツ発信が増えていると考えられます。

採用コンテンツの発信により期待される効果

 企業が採用ターゲット向けて丁寧に情報発信することで得られる効果は、主に以下の通りです。

<採用コンテンツ発信の効果>
  • 採用ターゲットからの応募増加
  • ミスマッチのない採用(結果、入社後に定着・活躍しやすい)
  • 従業員エンゲージメントの向上
  • 社内コミュニケーションへの好影響


 採用コンテンツはそもそも自社が求める人材に、自社の魅力を伝えることを目指して作成されます。これを発信することで「頭数をそろえて、その中から自社に合う人材を探す」という従来のやり方と比べて、より多くの採用ターゲットからの応募を獲得することがきるでしょう。

 また、採用活動のゴールが変化している中で、自社を正しく理解してもらえるコンテンツ、自社の魅力に共感してもらえるコンテンツを発信することで、限りなくミスマッチの少ない採用が実現できます。その結果、入社後にギャップを感じて早期退職することなく、定着して活躍してくれる人材が増えることが期待できます。

 さらに、従業員エンゲージメントの向上や社内コミュニケーションの活性化なども期待できる効果の1つです。企業の想いや価値観を伝える情報の発信は、採用ターゲットだけではなく従業員にもしっかり届いて欲しい情報です。従業員自身がそうした情報を他の媒体で発信したり、リファラル採用のために自分の言葉で友人などに紹介したりすることで、自社で働く意味や価値をあらためて考える機会にもなります。

 採用コンテンツの中でも、従業員紹介や部活、イベント紹介記事などは従業員にも人気が高く、社内報のようにコミュニケーションの潤滑油になります。また、自分のインタビュー記事が社外向けに大々的に発信されると自信につながったり、同期の間で前向きな競争意識が芽生えるなどの効果も考えられます。

【次ページ】求職者がよく読む採用コンテンツの種類とは

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