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  • 2022/05/26 掲載

アマゾンが「倉庫テック」ファンドを開始、1,300億円投資した全体像と具体的な企業名

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アマゾンは2020年、環境テック分野のスタートアップに20億ドル(約2,600億円)を投じる「The Climate Pledge」を開始した。さらに2022年4月には「Amazon Industrial Innovation Fund(AIIF)」を発表。倉庫内の安全性やロボティクス分野に焦点を当てた分野に10億ドル(約1,300億円)を投じ、AIIFの活動をさらに広げる。具体的にどのような企業が投資対象となっているのか、またその投資背景とは。詳細を探ってみたい。

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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アマゾン新ファンドの投資分野とは?
(出典:アフロ)

アマゾンの10億ドル投資ファンドとは

 アマゾンは2022年4月21日、倉庫作業の安全性や効率を高めるテクノロジー開発を促進するため、10億ドル(約1,301億円)に上るファンドを創設することを明らかにした。

 「Amazon Industrial Innovation Fund(AIIF)」と呼ばれるファンドで、フルフィルメント、ロジスティクス、サプライチェーン分野のテクノロジーを開発するスタートアップに資金を投じる計画という。

 アマゾンは、アレクサファンドや環境テクノロジーファンドを創設するなど、このところ投資活動を拡大している。今回の新ファンド設立は、この投資活動をさらに前進させるものと見られる。

 直近で注目されたのは、2020年6月に発表された環境テクノロジーファンド「The Climate Pledge」だろう。

 同ファンドは、2040年までにアマゾンの事業で排出される二酸化炭素を実質的にゼロにすることを目標に、環境テクノロジーを開発するスタートアップに計20億ドル(約2,600億円)を投じる。投資対象となる分野は、交通、ロジスティクス、エネルギー、製造、食品、農業と幅広い。投資額は暫定的なもので、状況に応じて同ファンドの規模は拡大する可能性があると報じられている。

 アマゾンのウェブサイトでは、同ファンドを通じてこれまでに少なくとも9社のスタートアップへの投資が行われたことが確認できる

 投資を受けたスタートアップは、電動垂直離着陸機を開発する「Beta Technologies」、二酸化炭素排出を抑制するコンクリート製造技術を開発する「CarbonCure Technologies」、リチウムイオン電池のリサイクル技術を開発する「Redwoods Materials」、EVを開発する「Rivian」などが含まれる。

注目のテクノロジー「倉庫内の安全性確保」

 今回発表されたAIIFではすでに5社への投資が実施されており、具体的にどのようなテクノロジーに注目しているかを知ることができる

 その1つが倉庫内作業のケガの予防テクノロジーを開発している「Modjoul」だ。

 
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倉庫作業の安全性向上へ
(出典:Getty Images)

 同社は米サウスカロライナ州・グリーンビルで2016年に創業され、工場や倉庫での作業におけるケガのリスクを軽減するIoTウエアラブルデバイス/プラットフォームを開発している。

 このデバイスには6つのセンサーが付いており、従業員の動き、場所、環境データを収集し、従業員がケガのリスクの高い体勢をとった場合、ハプティック技術で通知することができる。

 工場や倉庫では、重い荷物を運ぶことが多いが、従業員が無理な体制で運ぼうとすると膝や腰への負担が増し、ケガのリスクが高まる。ウエアラブルデバイスを用いると、このリスクを大幅に軽減することが可能とされる。

 同社のウェブサイトで紹介されている、世界最大手のEコマース企業の倉庫で実施されたケーススタディーでは、ウエアラブルデバイスによって、リスクの高い体勢が70%減ったと報告されている

 ケガのリスクの軽減に加え、倉庫の在庫管理改善も同ファンドが注視する領域だ。

 この分野では、米カリフォルニア州・サンタクララで2017年に創業された「Vimaan」に資金が投じられた。

 同社が開発しているのは、コンピュータービジョンやAIを活用した在庫管理ソリューションだ。倉庫への商品入荷から、ピッキング、注文処理、出荷までの各プロセスを一部自動化できるテクノロジーという。

【次ページ】新ファンドの重点投資領域は?

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