• 2025/09/16 掲載

今アツい「医療AI」、アップル・エヌビディア・グーグルも参戦「5兆円市場」の最前線(3/3)

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急成長中、AI搭載の「医用画像診断」

 AIを活用した医用画像診断は、複雑な画像データから、より迅速で正確な検出、診断、予測分析を可能にしている。FDAもその変革的な将来性を認めており、特に新興市場において急速に進展中だ。

 フィリップスはアジア・オセアニア放射線学会(AOCR)2025にて、AI搭載の「CT 5300」を発表。このシステムは診断の信頼性を高め、ワークフローを効率化するように設計されており、診断、インターベンショナル手技、医用のAI画像処理などを行う、高度なAI機能を備えている。

 また、AIを活用したX線画像診断は、コンピューターアルゴリズムを駆使して複雑な医療データを分析する、急成長中の技術である。

 MLが治療効果の予測と腫瘍分類をサポートする一方で、ディープラーニングを使用すれば膨大なデータ抽出の高速処理が可能となる。これにより、所要時間の短縮、放射線被ばく量の低減、画像処理コストの削減を実現し、患者ケアの質と業務効率が高まる。

 こうした背景から、既存企業も新興企業もAIに投資して技術革新を推進し、医用画像診断市場の中で競争優位性を獲得しているのだ。

 このイノベーションをリードしている主力企業には、GE、シーメンスヘルシニアーズ、キュアAI(Qure.ai)、ルニット(Lunit)、エンリティック(Enlitic)、アグフア・ゲバルト(Agfa-Gevaert)などがある。

2018年から実用化進む「手術用AI」の現在と未来

 手術用AIは、すでに現実的な段階へと移行しており、2018年以降、商用ソリューションの実用化が着実に進んでいる分野である。

 医療システムにおけるスマート手術技術の導入が加速する中、手術室におけるAIの役割は拡大し、トレーニング、手術のスケジューリング、診断、器具の追跡に至るまで、あらゆるものの支援を強化している。手術用AIの継続的な研究開発により、AIを活用した手術計画、リスク分析、リアルタイムの意思決定サポートなど、高度な応用が登場しており、今後はさらに可能性が広がるだろう。

 また、3Dビジュアライゼーション、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、ボリューム画像解析といった技術との統合によって、手術準備や手術方法は大きく変わり、手術精度と術中ナビゲーションの質が向上すると期待されている。

 2025年3月には、アーティサイト(Artisight)がAIと自動化技術を用いて手術室を改善するために、エヌビディアおよびカールストルツ(KARL STORZ)との提携を拡大した。このパートナーシップは、リアルタイムデータ、コンピュータービジョン、高度な分析機能を統合し、手術ワークフローの改善、患者の安全性向上、臨床成果の最大化を実現する、次世代型手術室(スマートOR)の開発を目的としている。

データ主導の「患者中心モデル」が実現

 AIとMLは、医療のあらゆる分野で急速に進化している。AI搭載の医療機器やロボット支援手術、リアルタイム診断、個別化医療、高度な画像診断ソリューションに至るまで、これらの技術は臨床現場全体の精度、効率、治療成果を向上させるだろう。

 2025年には、アップルの医師向けAIエージェント、エヌビディアのスマート手術システム、フィリップスのAI搭載画像診断プラットフォームといった大きな取り組みにより、主力企業がいかにイノベーションを加速させているかが浮き彫りになった。また、心臓モニタリング、手術用AI、アクセス可能なX線診断など、AIは医療における可能性を広げている。

 さらにウェアラブル、遠隔医療、AR/VR、予測分析によって強化されたAIは、治療の計画、実行、モニタリングする方法までも再構築している。

 AI医療のエコシステムが成長した先には、データ主導の患者中心モデルが実現し、医療が改善されるだけでなく、よりアクセスしやすくコストパフォーマンスの高い世界が待っている。AIの継続的な学習、他技術との統合、業界を超えたコラボレーションにより、AIは次世代のグローバル医療革命をけん引する存在になるだろう。

この記事は、米国の市場調査会社BIS Research (BIS リサーチ)社の市場調査レポート「Asia-Pacific Artificial Intelligence/ Machine Learning Medical Device Market: Analysis and Forecast, 2022-2032(アジア太平洋の人工知能/機械学習医療機器市場:分析と予測(2022年~2032年))」を基に同社が執筆した記事を株式会社グローバルインフォメーションが翻訳の上、再構成しています。

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