- 2025/11/23 掲載
「いつか私もこんな目に…?」育休復帰の先輩への止まらない悪口に震える20代女性(2/2)
「私も妊娠したらこんなふうに言われるのか」という恐怖
ミホさんの職場はフランチャイズ展開をしているエステサロンです。職場の先輩である女性・アキコさん(30代・女性)は、悪阻(つわり)が重く、貧血もあったため、医師の診断書を取得して2回、通算3カ月ほど休職しました。安定期に入ってからは体調も回復して就労し、産休に入りました。四月の保育園入園に合わせ、産後10カ月でフルタイム復帰をし、産休前と同じ仕事に就いています。しかし、たびたび自身や子どもの体調不調が原因で急な欠勤や早退が頻発しています。顧客はセラピストを指名して予約するので、その都度、予約の取り直しや、代替セラピストの手配が必要です。
このような状況で、連日、休憩室でアキコさんの施術や勤務態度についてスタッフが不満を漏らすようになりました。店長は自分がその穴をカバーすることが多いので、一番文句を言っています。
育休から復帰するスタッフは、時短勤務で戻ってくることが多い職場でした。でも、アキコさんは時短勤務を断ってフルタイムで戻ってきたこと、にもかかわらず勤怠に乱れがあることについて、周囲は「アキコさんはわがままで自分勝手」と思っていると、ミホさんは感じています。ミホさんはモヤモヤした気持ちを抱きつつ、自分がみんなを正したり文句を言うことは憚(はばか)られ、職場に行くのが憂鬱です。
相談したことが社内でばれないように、他社で働く友人に相談したところ、それはマタハラではないのかと言われました。そこでミホさんはネットで調べ、社労士に相談することにしました。私からは、まずは次のようなアクションを取ることを提案しました。
- 休憩室で話されている悪口について、発言内容・頻度・回数などを記録する。
- フランチャイズの統括会社にあるハラスメント相談窓口に連絡してみる。
動いてもらえないようなら、総合労働相談センターへ相談する。
今回のケースはミホさんが直接的な被害者ではありませんが、ミホさんは「いずれ自分もこのような目にあうのではないか」とおびえています。
また、店長やスタッフのイライラのはけ口としてアキコさんが使われているのではと強い不安を感じており、自身もストレスを感じています。
規模の小さな会社で店長がハラスメントに加担しているなど、社内で相談しにくいときは、上部団体など外部の力を使って環境に働きかけたり、場合によっては転職も視野に入れるとよいでしょう。
実際にハラスメント認定された裁判例
経産婦のスタッフを対象にしたハラスメントが争点になった裁判例を1つご紹介します(医療社団法人Bテラス事件 東京高判令和5年10月25日)。この事件は、歯科医師である原告の予約時間等を操作し、診療予約を入れにくくする行為や、原告の不在時に院長が控え室で、歯科衛生士の従業員2名と原告の悪口を言っていた行為がハラスメントにあたるのかどうかが争点になりました。
また、「原告の育ちが悪い」「原告の家にはお金がない」など、原告への悪口の内容について、院長という立場でありながら、他の従業員とともに、原告を揶揄(やゆ)することは客観的に見て「原告の就業環境を害する行為」であるとし、ハラスメントであると認められました。
被告である院長は、控え室の悪口は原告本人に聞かせる意図ではなかったと釈明しましたが、本件では院長という立場や地位が重く評価されての判決となりました。
この件では、被告である医療法人と院長に対し、慰謝料20万円の支払いが命じられています。
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