- 2026/01/20 掲載
メルカリ生成AI担当・ハヤカワ五味氏、「他社事例は見るな」と断言する納得のワケ(2/3)
ハヤカワ氏が「他社事例は参考にするな」と語るワケ
「前提として、他社の事例を参考にすべきではないと思います。社内でも『他社の事例を見るな』と伝えています。メルカリでは最新事例は外部に出ていませんし、公開されている事例でも、3~4カ月前のものになります」「事例を参考にするな」というハヤカワ氏の発言は意外にも思われるが、最新事例が表に出にくい状況を考慮すれば納得感のある発言だ。自社に合った活用を積極的に推進するのであれば、独自の情報源を得ることや、自社で試行錯誤を凝らすことが重要なのであろう。
とはいえ、生成AI活用に役立つ点は多くの企業の関心事だろう。ハヤカワ氏に聞いたところ、「コンテキストが重要だと思います」と話した。
「ここでの『コンテキスト』は、会社の理念や個人の担当業務などの意味です。1つ目におすすめするのが、特定のプロジェクトについて、概要を1枚の書面にまとめることです。たとえば『なぜこのプロジェクトが発足したのか?』『誰が配属されたのか?』『何を目的として、どこに向かっているのか?』を1枚でまとめるのです。これを関係者全員で共通のコンテキストとして生成AIに学習させておくと、回答の品質が上がります」
「2つ目は会社における共通のコンテキストを作っておくと、品質が上がります。弊社では『Go Bold(大胆にやろう)』という考えがあり、従業員の共通認識となっています。しかし、生成AIは新入社員と同じでこうしたコンテキストを持っていないので、学習させておきます。汎用的な方針として、全員が共通して使えるコンテキストを作っておくのが有効だと思います」
同様に生成AIが人間よりも適切な回答を行うには、事前の学習が重要になるという。
「生成AIの回答結果が、すでに社内で議論されてわかっていた内容だったということがあります。たとえば新規事業におけるマーケティング施策について、生成AIがすでにわかっている回答を出す場合もあるでしょう。人間がその回答を出さないのは、過去に失敗したことを知っているからです。こうした過去の経緯を把握していることが重要です」
「そこで生成AIで事前に学習させておけば、より良い回答になります。生成AIはこうした制約を増やせば増やすほど、深い思考をしやすくなるので、予算や期間、デメリットなどを示して考えさせると、人間が到達できなかった回答を出してくれるでしょう。直近ではGemini 3などの最新バージョンにおいて、こうした回答が得られるようになり、自分でも驚く回答が出てきます」
全社員の「生成AIへの関心」を上げるには?
組織における生成AIの推進策として行われるのが、情報共有や意見交換などができる場を作ることである。ハヤカワ氏も社内勉強会やチャットツールでの情報発信など、手段や場所を問わず継続的に取り組んでいる。「生成AIに対する視聴率という考え方を持っており、視聴率が高い状態を維持したいです。メルカリでも人は集まっているものの、生成AIに関心の薄い時期もありました。そこで多くの人が関心を持つ、視聴率が高い状態を作るために、面白いと思ってくれる使い方などをそれぞれの人に合わせて提供するのが、重要だと感じました」
「具体的には社内チャットツールのAI専用チャンネルや、私の独り言チャンネルにおける情報発信を行って、視聴率も上げていきました。こうした視聴率が高い場所は会社によって異なるので、考慮しながら接点を作るのが重要だと思います」
視聴率を上げる方法は、社内の活動だけにとどまらない。
「社外での情報発信をうまく利用しましょう。私がメルカリ入社後も社外で発信しているのは、社外から情報を取り入れた方がスムーズになるためです。たとえば特定の経営層にとっては、社外からの情報の方が聞き入れやすかったりします。さらに社外の情報発信によって、他社から『メルカリは生成AIを頑張っている』と認知されれば、取り組まざるを得ないプレッシャーとしても効果があるでしょう。 【次ページ】「反対派」とはどう向き合うべきか
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