- 2026/01/18 掲載
話し上手が「時間」を意識するワケ──あなたの評価を下げる“時間泥棒”というリスク(2/4)
説明がうまい人が極力避ける「あれ」「これ」「それ」
たとえば、上司が、部下に新しいプロジェクトの全体像をホワイトボードに書きながら説明している場面を想像してみてください。上司:「まず、これが全体の流れで、先週話したあれを、ここに反映させて、これを仕上げておいてくれるかな?」
部下:「(心の声)え、えっと……。最初の『これ』は全体の流れで……、『あれ』は先週の……『ここに』はどの資料のこと……? それで、最後の『これ』とは……?」
上司の頭の中では、「これ」や「あれ」が指し示す対象は明確です。しかし、部下の頭の中は、飛び交う指示代名詞を解読する作業でいっぱいいっぱい。説明の内容を理解するどころではありません。これは、聞き手にとって非常に不親切な状態です。
では、説明がうまい人は、同じ場面でどう話すでしょうか。
上司:「まず、ホワイトボードに書いたこの図が、プロジェクト全体の流れです。特に重要になるのが、この『2.市場調査』のフェーズですね。先週お渡しした『A社の市場分析レポート』を、この『2.市場調査』の項目に反映させて、最終的に『月間アクティブユーザー数1万人』という目標を達成したいと考えています」
いかがでしょうか。後者の説明は、一度聞いただけですべきことが明確に理解できます。それは、後者が「あれ」「これ」「それ」といった指示代名詞を極力避け、具体的な名詞に置き換えて話しているからです。
「自分が見ているものは相手も見ている」という“思い込み”
指示代名詞の多用は、特に「同じものを見ながら」話しているときに起こりやすくなります。会議室で同じスクリーンを見ているとき。1枚の資料を2人で覗き込んでいるとき。私たちは無意識のうちに、「相手も自分とまったく同じ場所に視線を向けているはずだ」と思い込んでしまいます。しかし、現実はどうでしょう。話し手が資料の左上のグラフを指差しながら、「この数字が……」と言ったとき、聞き手は右下の注釈を読んでいた、なんてことは日常茶飯事です。
この「自分が見ているものは、相手も見ているはずだ」という思い込みは、「自己中心性バイアス」の一種です。自分の視点を基準に物事を考えてしまう、人間の思考のクセなのです。
たとえば、あなたが友人と旅行雑誌を見ながら、週末の計画を立てているとします。
「ねぇ、これ、すごく良さそうじゃない? ここに泊まって、あれを食べて……。それもいいよね!」
あなたは指で示しているつもりでも、パートナーは別のページを見ていたり、あなたの指がどの記事を指しているのか正確に追えていなかったりします。
「ねぇ、この『箱根温泉 週末ほっこりプラン』ってすごく良さそうじゃない?『旅館○○』に泊まって、名物の『釜めし御膳』を食べて……。オプションで『彫刻の森美術館のチケット』もつけられるみたいだよ」
言葉だけで情景が浮かぶ。これこそが、説明がうまい人が目指す状態なのです。 【次ページ】説明がうまい人のシンプルながら絶大効果を持つテクニック
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