- 2026/01/29 掲載
「会社で評価されません…」仕事ができる人はどう答える?「メタ認知力」クイズに挑戦(3/3)
AI時代にこそ「具体・抽象力」が必須になる理由
実は、ChatGPTなどの生成AIが盛り上がった時、ある面白い現象が起きました。それは、「具体」や「抽象」をテーマにした本が、Amazonのベスト10にランクインするなど、非常によく売れたことです。私の過去の著作もその1つでした。これは、AI時代において「具体・抽象力」がより一層必要とされていることの表れだと考えています。その理由は2つあります。
1つ目は、AIを使いこなすために具体・抽象力が必要だということです。
生成AIに何かを依頼するとき、私たちは「プロンプト」と呼ばれる指示文を入力します。このプロンプトが抽象的だと、返ってくる答えも抽象的です。逆に、具体的なプロンプトを投げれば、具体的な内容が返ってきます。
社内でメンバーがどのようにAIを使っているか観察したところ、日頃から具体的に考えるのが苦手な人は、抽象的な一言だけでプロンプトを投げ、抽象的な答えを見て分かった気になっている傾向がありました。一方、専門性の高いメンバーは、非常に詳しく具体的なプロンプトを使いこなし、時には「関西弁で返してほしい」といったユニークな指示まで加えて、AIから質の高いアウトプットを引き出していました。AIへの「問いの作り方」こそが、具体・抽象力の真骨頂なのです。
2つ目の理由は、AIが発展するほど「人間ならではの価値」が問われるようになるからです。
基本的な計算や論理的思考がAIに代替される時代、次に大事になるのは「好奇心」です。「絵が好きだ、もっと広めたい。そのためにはどんなサービスが必要だろう?」といった、人としての根源的な欲求や興味関心。この好奇心を元に、具体・抽象力を駆使して新しい価値を創造していくことこそ、これからの時代に求められる人間の役割だと考えています。
日常でできる思考力トレーニング
では、この重要な思考力をどう鍛えればよいのでしょうか。私がおすすめするのは、好奇心とともに「問いを立てる癖」をつけることです。元マッキンゼーの赤羽雄二氏が書かれた『ゼロ秒思考』という本で紹介されているトレーニングが非常に参考になります。
やり方はシンプルです。普段からA4の紙を持ち歩き、ふと「これ、何だろう?」と疑問に思ったことを、タイトルとして書き出します。たとえば、「なぜ最近、日本はこんなに暑いんだろう?」といった問いです。そして、その問いに対して考えられる答えを、思いつくままに書き出していく。これは「具体化思考」のトレーニングになります。
そして、書き出した答えを俯瞰(ふかん)して眺めると、「なぜ自分はそう思うのか?」という次の問いが生まれます。これは「抽象化思考」です。このように、紙に向かって自由に思考を具体化したり抽象化したりする時間を持つことが、非常に良いトレーニングになります。
また、週に1回、1週間を振り返る時間を設けるのも効果的です。「今週はどうだっただろう?」と紙に書き出し、「成功要因の共通点は何だろう?(抽象化)」「じゃあ来週から具体的にどうしよう?(具体化)」と考える。このように、具体と抽象を行き来する思考の時間を定常的に確保することが、スキル向上の鍵となります。
苦手なことは、得意な人に頼ってもいい
まずは、私の著書『頭のいい人になる 具体・抽象ドリル』に収録されている62問の中から、面白いと思った1問だけでも試してみてください。
また、人の力を借りるというのも1つの手です。世の中には、アイデアがポンポン出る「抽象化思考が強いタイプ」の人と、アイデアを出すのは苦手でも、計画通りに物事を愚直に進めるのが得意な「具体化思考が強いタイプ」の人がいます。
両方のスキルを完璧に身につけるのは、人によっては難しい場合もあります。ですから、本などを通じて「自分は具体寄りの人間だな」「自分はアイデア発想の抽象寄りだな」と、まず自分自身をメタ認知することが大切です。
そして、もし自分が抽象化は得意でもアイデアが実現しないタイプなら、具体化が得意な人と組んでみる。職場の上司や部下、仲間の中からそういう人を見つけて相談し、一緒に仕事を進める。自分の苦手なところは、得意な人に頼るという考え方も、これからの時代には非常に有効だと思います。
本を読むことで、自分自身や他の人の得意な思考法を理解するきっかけにもなるのです。ぜひ、皆さんも具体と抽象の思考法を身につけ、仕事もキャリアも劇的に変えていってください。
インタビューの様子をフルでまとめた動画はこちら。記事では紹介しきれなかったお話も多数収録していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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