- 2026/07/07 掲載
関東スーパーを狙う「最強の刺客」バロー、"地味"な姿に隠れた「4つの独自性」とは(4/4)
バローの今後の浮沈を決める「PB商品開発」
バローはこのように、食のSPA化をさらに次のステージに引き上げようとしています。PB商品開発力を高めてそれが売場でさらに売れるようになり、自社のドラッグストアやコーナンの売場などでも販売強化されていけば、自然と同社の粗利率は上がることになります。同社の狙いは粗利率アップによる企業としての収益性向上です。そのためにはより高い売上高が狙える大商圏で、同社の食品スーパー業態をどれだけ拡大できるかが勝負です。
その点で、鮮魚・ベーカリーを中心とした生鮮+製造小売+PBが下永谷の関東1号店で支持されたことは、同社にとって大きな自信となっているはずです。
関西商圏ではすでに52店舗、売上750億円(2026年3月期)を超え、売上1,000億円が視野に入ってきました。関西商圏の店舗は1店舗あたり売上が23億円と全国平均より約8億円高い数値をたたき出しています。非常に効率の良い店舗展開が可能です。今後も関西商圏での新規出店は続きます。
次のメインターゲットは関東商圏への本格進出です。26年秋に東京初進出となる東京都大田区の「本羽田店(仮称)」をオープン予定です。25年12月に閉店した「オリンピック本羽田店」の跡地にオープン予定の関東2号店です。いよいよ本格的に東京進出することで、東京都内の食品スーパー競争は激烈になります。すでに3、4号店の新規出店も計画中(同社)とのことで、バローの本格進出に同業他社は戦々恐々としています。
いよいよ大商圏でのバローの力が試されると同時に、その知名度を全国区にできるかどうかがかかっています。バローもエース人材を投入し、あらゆる準備をして東京進出してくるでしょう。
東京で通用するか──バローに残された「課題」とは
バローの関東1号店、横浜下永谷店を見る限り、同社の食品スーパー事業は今後、東京でも十分に支持を得て、繁盛店になるのは間違いないと思われます。ただし、その後、順調に店舗拡大し続けられるかは微妙です。まず出店余地がどこまであるのか。バローが確保したい売場面積は少なくとも700坪以上、できれば1000坪です。それだけの面積をとれる都内物件が果たしてどの程度あるか。当然、同業他社も出店立地の確保に日々奔走している中で、同社がどこまで好立地物件を確保できるか。また当然、家賃も高くなりますので、それを吸収できるだけの利益がだせるかは課題です。
また、東京には生鮮三品に強い食品スーパーや百貨店が山のように存在します。惣菜・弁当に強い専門店も多数あります。ベーカリーに至っては海外のベーカリーショップも含めて実に多くの繁盛店が存在しています。果たして食品スーパーというレベルでのバローの強みが東京の各地区でどこまで通用するか。慎重に出店立地を選ぶことがカギになります。
そして、バローが今後注意すべきもう一点は、多業態展開してきた食品スーパー以外の事業です。食品以外は売上がまだ小さかったり、前年比でマイナスであったり、M&Aが必要であるなど、さまざまなテコ入れが必要なカテゴリーです。グループシナジー効果をだし、食品スーパーだけでなく、ドラッグストアやホームセンター、ペット、スポーツクラブなどの各事業の売上や利益を拡大させ、グループ全体の収益貢献をはかれるか。ここが企業価値を測る重要指標となります。
ある意味、スーパーの一本足打法できたこれまでの経営から、地域の生活全般をカバーする地域密着型・ワンストップソリューションモデルを浸透させることができるのか。
「バローグループの商品・サービス・決済で地域を便利に、豊かに繋ぐ『バロー経済圏』の構築と、商品力で選ばれる『デスティネーション・カンパニー』を目指す」(同社、新中期経営計画より)というビジョンが達成できるのか。
スーパーだけではなく、あらゆる地域の生活全般にまで、同社の価値観を広げられるかに注目したいと思います。
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