- 2026/08/15 07:10 掲載
顧客の「欲しい」をうのみにしない…キーエンスで磨いた“言葉の裏”を探る営業術(3/3)
営業は「話す仕事」ではなく「聴く仕事」
いずれにせよ、お客様と本気で向き合い会話を重ねないことには、この顕在ニーズの裏に隠されたあまりにも尊い「真のニーズ」は決して把握できません。営業は「話す」仕事だと思われがちですが、本質は「聴く」仕事です。傾聴してください。あなたが必死に探している答えは顧客の口の中にではなく、顧客の心の中にあります。
相手が持っているその答えを丁寧に引き出してあげること。それが営業の神髄です。
他社製品を勧める「誠実さ」と成果に執着する「泥くささ」
この「傾聴」を極めていくと、場合によっては「自社製品は適していない」という結論に至ることも多々あります。その場合は、勇気を出してください。
「お客様の『子供に机をプレゼントしたい』という目的を最短でかなえるなら、正直、弊社のドリルより、A社さんが扱っている組み立てキットのほうが良いかもしれません」
このように、誠実に他社製品を勧めること。これは一見売上を逃しているように見えますが、長期的には「この人は売り込みではなく、本当に私の課題を解決しようとしてくれる」という絶対的な信頼に繋がります。
もちろん、綺麗事だけでは売れないのが現実です。予算やKPIもあります。「どうしても」と言うなら、ときには「この製品(自社製品)を使えば、お客様の目的には少し遠回りでも、こういう形でお役に立てます」と、ある程度ニーズに合致するなら無理やりにでも自社製品を当てはめて売る覚悟も必要です。
営業は泥くさいものです。顧客の未来を誰よりも真剣に考える「誠実さ」と、目の前の成果に執着する「強引さ」。その両方を併せ持ち、顧客の課題に最適解を提示し続けること。それこそが単なる「御用聞き」を超えた、真のプロフェッショナルなのです。
価格ではなく「課題解決」で選ばれる営業へ
「顧客が欲しいものを売るな」という思考は単なる営業テクニックではなく、顧客との関係性を根本から変える「営業哲学」です。顕在ニーズに即座に応えるだけの「御用聞き」の営業はやがて価格競争に巻き込まれ、疲弊してしまいます。
ときには他社製品を勧める「誠実さ」と自社製品で解決策を捻ひねり出す「泥くささ」。その両輪を持って顧客の成功にコミットし続けることこそがAIや価格比較サイトには決して代替されない、プロフェッショナルな営業の姿と言えるでしょう。
ぜひ明日からの商談で顧客の「欲しい」という一言を、ゴールではなくスタート地点として捉え直し、その裏に隠された「未来」を探る対話を始めてみてください。
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