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- 2010/07/05 掲載
プロジェクト診断の手法を身につける【第12回】情報戦略ガバナンス (2/2)
ボストン・コンサルティング グループ 井上潤吾氏
プロジェクト診断ツール:DICE
弊社が用いているプロジェクト診断ツールは、DICEと呼ばれる手法である。DはDurationの略で、計画上のマイルストーン間の期間である。これを4つの選択肢に分け、(1)2 ヶ月以内、(2)2 〜4 ヶ月以内、(3)4 〜8 ヶ月以内、(4)8 ヶ月以上というように分ける。マイルストーンの間が開いていればいるほど、プロジェクト進捗管理が甘くなる性質をついている。
IはIntegrityの略でプロジェクトチームのパフォーマンスを出すための整合性を評価する指標である。メンバのスキルミックス(それぞれのメンバの強みが補完しあっているか)、要員数、チームの一員としての参画意識、メンバのモチベーションなどである。これを、(1)とても良い、(2)よい、(3)平均、(4)よくない、の4択で評価する。
C1はCommittment1の略で、シニアマネジメントの変革に対する熱意である。経営層の理解や変革支援がそれに相当する。この4択は、(1)明確に社内に伝わっている、(2)それとなく伝わっている、(3)反対はしていないが、とくに熱意も見られない、(4)変革に賛成しているように見えない、である。
C2はCommittment2の略で、現場の変革意識である。これは、現場の変革に対する理解と自発性などがある。この4択は、(1)熱意がある、(2)意欲はある、(3)なんとなく抵抗、(4)強く抵抗である。
最後のEはEffortの略で実行段階における現場の必要作業量である。これは、実行段階になったときに、現場が現在の仕事に加えて、どれだけ追加の作業をする必要があるかという必要努力量の指標である。この4択は、(1)10%未満、(2)10 〜20%、(3)20 〜40%、(4)40%より大である。どの指標も、(1)に近いほうが好ましく、(4)に近くなればなるほどプロジェクトが危機に 瀕しているということである。
この5つの指標を、下記の式で足し合わせて、DICEスコアなるものを計算する。
DICE=D+2I+2C1+C2+E
IとC1が2倍されて総合スコアが計算されているのは、この2要素が我々の経験上、プロジェクトの成功に極めて重要であることがわかっているからである。このスコアと予想されるプロジェクトの成果の関係を表したものを図に示す。スコアが14点以下であれば、プロジェクトは順調で、その成功確率は高い。しかし、14 〜17点になると、懸念される領域に入ってくる。そして、17点を超えると危険領域である。それぞれの点数に応じて幅があるのは、弊社の経験から成功確率に幅があるため、それを示している。しかし、17点以上であれば、早急に何らかの手段を講じるべきである。
たとえば、ヒアリングした幹部の中で、特にプロジェクトに懸念を示している人がいれば、具 体的にどのような課題を認識しているかを追加で聞いてみて、その具体事象を深堀検討することで、課題の真因を探るのである。そのような課題をいくつか検討した後に、真因に対する打ち手を構築し、課題解決に向けて、それを実行する。たとえば、Dであれば、プロジェクトのマイルストーン間を短く設定してプロジェクト管理を強化する。Iが足りなければ外部ITベンダを用いて、実行力を高めたり、プロジェクトリスクを分散したりするのである。
プロジェクト管理は今後、重要なビジネススキルの一つになると思う。読者の方々もプロジェクト診断の手法を身につけて、プロジェクト管理の一つの引き出しにしてはいかがだろうか。
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