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  • 2011/08/05 掲載

「知の経営」ができる人財とは?:【連載】人財マネジメント(4)

ICG国際コンサルタンツグループ会長 髙梨智弘氏

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第3回で、顧客価値・社会価値が創造できる人財(材料の「材」ではなく、財産の「財」)ついて考察したが、これからの人財は、従来の職務記述書通りに仕事ができる「人材」や、上司の指示通りできる「人材」に加えて、顧客・生活者・社会の満足を創造するために、その場やその時々で最適な解決策を提供できる、つまり「知の経営」ができる「人財」でなければならない。それは、現代が多様な個を尊重した社会である以上、その中で生き残っていかなければならない組織の目的を達成するために、顧客として・生活者として・社会の一員として個々人の満足をおざなりにできないからである。

髙梨智弘

髙梨智弘

T&T PARTNERS会長
ICG国際コンサルタンツグループ会長
(株)日本総合研究所 フェロー
新潟大学大学院技術経営研究科特任教授
公認会計士

マズローの視点から

 言い換えれば、「マズローの欲求階層(五段階説)」(図1参照)を考慮に入れた「人ベースのマネジメント」が求められていると考えると理解しやすい。それは、「人の欲求階層に合わせるサービス=満足の段階に合わせたマネジメント=新しい人財マネジメント」という経営の方程式が成り立つと考えれば良い。

photo
図1:マズローの欲求階層


 と言うことは、会社や個人の成熟度、つまりそれぞれの経営状態や社内での個人の立場等によってニーズは変わり、満足度も多様なため、人の多様な欲求に合わせる柔軟な人財マネジメントが要求されることになる。それは、個人が自己実現を目指す支援をするマネジメントを意味すると考えても良いだろう。もちろん、ここでの「個」は、顧客・生活者・社会等の全ての個を意味する。

知の社会の視点から

 人財が能力を発揮する時代が、「1.品質競争の時代」から「2.経営品質競争」へ、そして「3.知の品質競争」に変化している。簡単に言えば、図2にあるように、

1.品質競争の時代は、「良い物が売れる時代」であり、たとえばQC・TQCの方法論に長け、商品やサービスの品質向上のための改善ができる人材が要求されていた。

2.飽食の時代の中で1980年代の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代が過ぎ、1990年代にバブル経済が崩壊し、失われた10年で、経営の質が変わった。個性化が進み顧客が物を言う中で、「良い物が売れる」と限らず、「良い経営(もの)が売れる時代」の到来である。経営品質の分かる人財が必要となった。

3.21世紀になり、ピータードラッカーが述べていた知識社会が到来し、知の活用が要求される社会(著者は、知識・知恵・知心の総合概念を「知」と称し、知の社会と呼んでいる)になった。つまり、良い知(モノ・コト)が売れる時代の知の品質を理解する人財が成功の鍵を握る。激変する環境の中で、あらゆる角度から必要な知を結集する経営しか生き残れないからである。

画像
図2:知識社会から知の社会へ


 新しい競争社会に合わせた日本型「知の経営」ができる人財は、環境変化に合わせて経営プロセス・業務プロセスの改善・改革に必要な知(知識・知恵・知心)を結集できる人財を意味する。

 2011年3月11日の想定外だったと言われた東日本大震災は、原発のリスクも含め広く世界に影響を与えた。このような状況でも、企業は持続的成長をしなければならない。経営資源に環境を取り込んだ(CO2対策や節電対策等)経営が必須となった(経営資源の環境要素については、「新しい人財マネジメント」:第9回:人財と戦略経営資源の6要素、で解説する予定である)。

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