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  • 2013/07/04

採用したエンジニアをどう育成するか?求める人材像のフレームワークから考える

連載:急成長ベンチャーの人財マネジメント戦略

エンジニアの獲得競争が激しい環境下において、他社との差別化を図るため、「女性エンジニア」をターゲットとした採用活動を進めることとなったホニック社。採用面接の方法を見直したり、採用面接官向けの社内トレーニングも実施した。さらには「女性エンジニア」が働きやすい環境を整備するため、同時並行で人事制度の見直しにも着手することとなった。こうして、ホニックは独自の方法で自社のエンジニアを採用する仕組みを整備していったが、ここにきて新たな課題も浮上してきた。

クレイア・コンサルティング 執行役員 桐ヶ谷 優

クレイア・コンサルティング 執行役員 桐ヶ谷 優

クレイア・コンサルティング株式会社 執行役員 ディレクター。
慶応義塾大学文学部卒業。大手人材派遣会社および外資系コンピューターメーカーの人事部門にて、人材開発や人事制度設計に携わる。その後、国内系人事コンサルティング会社を経て現職。主に人事制度改革を中心にコンサルティングを行う。最近では、企業再編に伴う人事制度改革や組織改革に従事。また、制度設計だけでなく、人事制度導入局面でのコンサルティング経験も豊富に持つ。

【企業の概要、これまでのストーリー】
企業名:ホニック社
主な事業:スマートフォン向けのゲームアプリの開発
従業員数:100名
売上高:20億円
スマートフォン向けのゲームアプリの開発会社ホニックは、サラリーマン向けに開発したゲームアプリが大ヒットとなり、社員数100名、売上高20億円にまで急成長を遂げたITベンチャー企業である。しかし、事業の拡大スピードに人材の採用が追いつかず、数年前から採用したエンジニアの離職率を高さも組織課題となっていた。社長の岩崎から直々の要請を受け、営業部門のマネージャーから人事部長に抜擢された宮田は、大学時代の友人で現在人事コンサルティング会社に勤める河上に相談を持ちかけ、河上のサポートを受けながら社長の直轄プロジェクトとして、ホニックの人事改革を推進することとなった。

採用したエンジニアをどう育成するか?

 「女性エンジニア」をターゲットとした採用活動は次第に効果が現れ始めていた。ハローワーク経由の応募者の中には、新卒でITベンチャーに入社し、エンジニアの経験を積んできた応募者や、大手のゲーム会社でデジタルクリエイターを経験している応募者など、有望な経歴を備えている応募者が何名かいた。

 もちろん、職歴上明らかに採用が難しいと思われる応募者も何名か見られたが、敢えて逆張りで取り組んでみたハローワーク経由の採用活動は、ホニックがそれまで接触できていなかったエンジニアとの接点を持つ上で有効な窓口として機能した。そして、応募者のうち何名かは、数度に渡るコンピテンシー面接を経て、ホニックに正式に採用されることとなった。順調な採用活動の背後で、人事部長の宮田は、人事コンサルタントの河上と次なる一手を模索し始めていた。

宮田:採用活動はひとまず順調なスタートを切ることができました。ありがとうございます。今後も引き続き、多様なチャネルを使って女性エンジニアを採用していきたいですね。もちろん、女性エンジニアに限らず、優秀な男性エンジニアもどんどん採用していきたいです。
 それと同時に今後は採用後の社内の教育体制についても見直しを図っていかなければならないと考えています。いくら優秀な人材を採用できたとしても、彼らが採用した日から直ぐに活躍できる訳ではなく、採用後の社内教育体制も少しずつ強化していく必要があります。河上さんはホニックの現状をどのようにご覧になりましたか?

河上:そうですね。残念ながら今までのホニックは、中途採用でエンジニアを雇っても、入社後は現場任せで、組織としてきちんとエンジニアを育成することを怠ってきたと言わざるを得ません。現場のマネージャーたちも多忙で、新しく入社してきた社員たちを手取り足とり教えることはできない状況です。

宮田:おっしゃるとおりです…。ホニックでも開発テーマごとにプロジェクトチームを組んで仕事を進めていきますが、プロジェクトに求められるのは、「期間内に成果を出すこと」であり、長期的な視点に立って人材育成を行うことはどうしても後回しにされる傾向がありました。中には、プロジェクトマネージャが人材育成を自分の役割と認識していないケースも見られました。

河上:これまで社員の離職が続いており、人員にも余裕がなかったため、尚更そうなってしまうのでしょう。ほとんどのプロジェクトマネージャは、次のような悪循環に陥っていたと思います。

 河上はおもむろにホワイトボードに次のような図を描き始めた。

photo
プロジェクトマネージャを取り巻く環境

宮田:言い訳になるかもしれませんが、技術の進歩とともに、プロジェクト内の役割分担も日々進化しています。それにもかかわらず、厳しい競争により短い納期・限られた予算でプロジェクトを進行させなければならないケースも多いのです。加えて、今のゲーム業界ではユーザーの嗜好や要望に合わせて、スピーディーに機能を追加・修正していくことが求められます。ユーザーの反応を見ながら、社内の多様な専門化たちとうまく連携しながら開発を進めていくことが、当社のプロジェクトマネージャたちには求められているのですが、これがやはり、なかなか難しい…。

河上:複数のメンバーをうまくマネジメントするためには、高いコミュニケーション力が必要です。しかし、エンジニアの中には、技術には詳しいけれどコミュニケーションはあまり得意ではない、という人も少なくないでしょう。優秀なプロジェクトマネージャを育てるのは、なかなか容易なことではありません。能力が不足しているプロジェクトマネージャに案件を任せてしまうと、プロジェクトがうまく行かない確率は高まるでしょうし、本人も苦労します。それを見ているメンバーたちも、「プロジェクトマネージャは大変だからやりたくない」という気持ちになってしまう可能性があります。

【次ページ】現場任せの社内育成体制をどう整備するか

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