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  • 2013/07/08 掲載

楽天のWebアクセス解析チームが明かす、巨大ショッピングサイトのデータ分析

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楽天市場を始め、国内外で40以上の事業を展開する楽天。1万人を超える楽天グループの社員には、成功の5つのコンセプトから成る楽天主義と呼ばれる行動指針がある。そのコンセプトの1つが、仮説→実行→検証→仕組化だ。これを推し進めて行くためには、データに基づく意思決定が必要となる。Adobe Digital Marketing Forum 2013で登壇した楽天 編成部 アクセス解析・最適化推進チーム リーダーの高橋歩氏が、その取り組み内容について語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

データドリブンのカルチャーを社内に定着させる

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楽天
編成部
アクセス解析・最適化推進チーム
リーダー
高橋歩氏
 楽天主義における成功のコンセプトの1つ、 仮説→実行→検証→仕組化を実現するためには、サイト来訪者の行動情報を取得し、それを分析し、そしてCVR(=コンバージョンレート)などをさらに向上させるためにサイトの最適化を図っていく必要がある。そこで楽天が採用したのが、アドビ システムズが提供するWeb解析ソリューションのAdobe Analytics(旧SiteCatalyst・Discover)だ。楽天の高橋歩氏は次のように説明する。

「楽天には国内外を含めて4200アカウントのユーザーがAdobe Analyticsを使っている。各ユーザーは1日当たり900回のログインを行い、130の主要なレポートスイート を活用して7800のレポートを出力/配信し、日々の業務に活用しながらWebサービスを運営している。」

 つまり楽天では、エンドユーザーが日常業務においてごく普通に、アクセス解析を行っているということ。しかしアクセス解析や最適化に各事業部が独自で取り組くむことには限界がある。そこで同社は全社の横串組織である編成部に、高橋氏がリーダを務めるアクセス解析・最適化推進チームを設置した。英語名のWeb Analytics&Optimizationの頭文字を取って「WAOチーム」と呼ばれるものだ。

「WAOチームは楽天を究極なデータドリブンのカルチャを持った企業にしていくことをビジョンに掲げている。ソリューションのサポートをすることがゴールではない。」

 そこでWAOチームでは、事業部の成長度合いを図るための3つのステップを設けている。1つめが、基本的なKPIを決めて、基礎的なアクセス解析を行っていくEssentials、2つめが、解析した結果から仮説を立てて、テストで検証していくOptimization、そして3つめが、さらに詳細な解析を行ってより深い知見を得ていくAdvancedだ。

「これらの指標を各事業部に当てはめてみた時、WAOチームでどうサポートしていくかを考えて、実行に移していく。我々はこれをEnpowerment(=力付ける、勇気付ける)と呼んでいる。25ある海外拠点も国内と変わらないフォロー体制を敷いている。」

 参考までに、成功のコンセプトの残り4つは、“常に改善、常に前進”、“Professionalismの徹底”、“顧客満足の最大化”、“スピード!!スピード!!スピード!!”だ。

各事業部門に求められる3タイプの役割

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 全社にデータを活用した意思決定を根付かせるためには、まず適切なデータと環境を用意する必要がある。その上でデータドリブンできる組織体制を作り、同時に分析や最適化を推進する支援ツールを導入する。そしてWAOチームが各事業部門の活動をサポートしながら、次の戦略を立案する。

 これをもう少し噛み砕いて言えば、始めに事業部や組織の役割を見える化し、データ活用のためのプラットフォームを用意し、さらに活用のための仕組みを提供することで事業部門をエンパワーする。WAOチームはその活動を支援しつつ、Web Analyticsの未来を描くということだ。

「役割を見える化する、プラットフォームを用意する、仕組みでエンパワーする、Web Analyticsの未来を描く。データドリブンな組織を作るためには、この4つの観点が非常に重要だ。」

 まず役割の見える化について言及した高橋氏は、「1つの会社の中で同じWebアナリストという肩書きでも、Web解析がメインの人もいれば、仕組みの開発/実装がメインの人もいて、役割の範囲が不明瞭な状況が多々見受けられる」と指摘する。

 そこで楽天では、事業部内に置いてほしい3タイプの担当者とその責任範囲を定めている。

 1つめが、解析の戦略立案やソリューションの導入、プロジェクト開始の意思決定などを行うStrategic Manager、2つめが、実務面での中心となり、プロジェクトマネジメントを行いながら自身も解析業務を行うWeb Analyst、そして3つめが、実装や開発面からのサポートを行うTechnical Leaderだ。ただし組織規模の大小もあるので、同じ人が複数の役割を兼務する場合もある。

「この各々の役割に対して、求められる知識とスキルを定義している。そしてWAOチームが、必要な知識やスキルを習得するためのトレーニングや情報提供などを担当する。」

 また各事業部には当然、3つの役割に相当しないエンドユーザーが大勢いる。こうした人たちに対しても、マニュアルやオンラインビデオ、eラーニングなどを提供することで、アクセス解析に関する知識レベルを担保しているという。

【次ページ】信頼できるデータを得るために分析基盤を再設計

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