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- 2014/08/07 掲載
システム開発自体にもう価値はない、ビジネスプロセスをどうデザインするか
東京海上日動システムズ 横塚裕志氏:
レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama
ビジネスを企画/設計/実現していく力が、今後の企業の運命を握る

顧問(前社長)
一般社団法人 情報サービス産業協会 副会長
横塚 裕志 氏
さらに横塚氏は、「オンラインビジネスの急増とはつまり、すべての産業が“アマゾン化”するということ。こうなってくるとビジネスの競争力は、その企業のビジネスプロセスも含めたソフトウェアが、お客さまにいいと思ってもらえるかどうかが勝負の分かれ目になる」と続ける。
2年前、東京海上グループの損害保険会社である東京海上日動火災保険では、スマートフォンから加入できる1日だけの自動車保険の販売を開始した。
「単に普通の保険をスマートフォンで売ってもインパクトはないが、“1日だけの自動車保険”という商品とセットで販売したことで、非常に評価が上がった。オンライン化によってリアルタイムを前提とした色々なビジネスが生まれてくると予想されるが、そうしたビジネスを会社の中でどう企画し、設計し、実現していくか。そういう力が今後、企業の運命を握るのではないか」
カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を上げるための3つの取り組み
「端的に言えば、そのソフトウェアがお客さまにとって価値が高いかどうか、つまりカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)が高いかどうかということだ」
企業がどんなにいい製品やサービスを作ったといっても、顧客がいいと思ってくれなければそれは売れない。横塚氏は「“お客さまにとっての価値”をどう捉えていくかが、ソフトウェアの勝負になってくる」と強調する。
「お客さまの価値が高いこと、製品/サービスのリリーススピードを上げること。この2点が、これからの勝負になってくる。これは私たちITの仕事を180度変える劇的な変化だ。そこではソフトウェア開発の方法論も、今までのようなやり方から180度、変える必要がある」
従来のソフトウェア開発においては、ビジネス側が要件を決め、それに従ってIT側が開発を行うというものだった。また開発を順調に進めるためには、始めに決めた要件は変更してはならない。しかし「こうしたやり方は、もう全く通用しない」と横塚氏は指摘する。
「第一に、IT部門は、お客さまの価値をデザインするための方法論を持たなければならない。第二に、ビジネス部門とのコラボレーションも必要だ。決めてくれたら作るという関係から新しいビジネスは生まれない。IT側がマインドセットを変えて、一緒に考えるしかない。その際の強力な武器となるのがBPMS(ビジネスプロセス管理システム)であり、BPMN(Business Process Modeling Notation:ビジネスプロセスモデリング表記法)だ。そして第三に、リリースのスピードアップを速めるためには、ソフトウェアを作り込んでいては間に合わない。“作らないで作る”ということが重要だ」
こうした3つのアプローチはIT部門にとって、今までのソフトウェア開発方法とは正反対のものだ。しかし「これらに取り組まなければ、新しい時代は拓けない」と横塚氏は言い切る。
【次ページ】これからはシステムを開発すること自体にもう価値はない
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