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- 2014/09/08 掲載
西武グループの情報システム部は、どのようにして業務をクリエイティブにしたのか
“クリエイティブ”な運用を目指し、現状の改善に乗り出す
その運用業務は“日々の運用をきちんと回す”という作業ベースが中心で、また運用メンバーは社員が3名、データベースのオペレータが2名、システムエンジニアが2名、そのほか事務作業を行うメンバーがいるといった複雑な構成になっており、人が入れ替わった時の引き継ぎが難しいという実情があった。
さらに、オフィスにはITベンダにも常駐してもらっていたが、彼らが夜間、作業している時には当番制で残っていなければならないという非効率さもあった。
「そして何より、グループ各社がさまざまな処理を我々に依頼してくるが、遠距離の会社からはその依頼書がFAXや郵送で届き、そうした紙ベースで業務を回している時には、今どこまで進んでいるのか、あるいは処理してくれているのかを、依頼元が問い合わせなければ分からないという状況だった。そのため、今の運用を改善しなければいけないという課題認識は非常に強く、執行役員からも“見直してくれ”ということを言われていた」
ただし、欲しい時期に、欲しいものはきちんと届いていたので、日々の運用を回すだけなら大きな問題になっていなかったという。
「しかしそれだけでは“クリエイティブではない”ということで、色々と考えていこうということになった」
運用手法とシステムで“デファクト・スタンダート”を採用
「運用業務の改革を考えた時、まず必要なことは、さまざまな仕事がどこで、どうなっているのかを明らかにすること、即ち業務プロセス管理を見える化することだった」
また西武ホールディングスは今年4月に東証一部への上場を果たしたが、当時はそれに向けた時期でもあり、運用業務は簡素化して効率化を目指すものの、IT全般統制はさらにきちんと進め、箍(たが)は決して緩めないという姿勢で臨んだ。
さらに見える化の対象は西武ホールディングスの運用業務だけでなく、グループ企業や委託先の業務プロセスにまで広げ、分散している拠点におけるサービスレベルの維持、監査業務の効率化、証跡管理の確実性の向上を図ることまでを目指した。
「今回のプロジェクトで掲げた大方針は、システム運用の国際標準であるITILを採用すること。システム開発時にはスタンダードなやり方に沿って作っていくと作りやすいということがあり、システムの運用も標準手法に合わせることを考えた。また実際のシステムは、パッケージ製品をノンカスタマイズで適用することにした」
つまり前川氏が目指したのは、運用手法も構築するシステムも“デファクト・スタンダートに合わせる”ということだった。
「デファクト・スタンダートのものなら誰でも分かるし、後で修正することも簡単だ。また一回作ったものをグループ内に展開していくことが可能となり、各社で運用業務を統一することも容易になる」
【次ページ】業務フロー図を徹底的に見直して、現行業務を整理
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