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  • 2014/08/18

マイナンバーにどう対応?札幌市の命運をかけた130億円の基幹系オープン化プロジェクト

北海道札幌市では2010年から6年間の計画で、基幹系情報システムの再構築プロジェクトに取り組んでいる。その目的は大規模一括発注とベンダロックインからの脱却を図ること。そこで採用したシステム開発のフレームワークが、産業技術総合研究所(AIST)の提唱する「AIST包括フレームワーク」だ。その実際の取り組みについて、BPMフォーラム2014で登壇した札幌市 情報化推進部 システム開発担当課長の長沼秀直氏が語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅

執筆:レッドオウル 西山 毅

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

マイナンバー対応も見据えた基幹系情報システムのオープン化

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札幌市
情報化推進部
システム開発担当課長
長沼 秀直 氏
 札幌市の基幹系情報システムは、住民登録された住民データを基に、税金や国民健康保険、年金、介護保険など、市民に関係するさまざまな事務処理を行うためのものだ。細かくは、住民記録システム、税務システム、国保・年金システムなどが挙げられ、従来はこれらの機能は汎用機上で実現していた。

 同市では、2010年よりこれらのシステムを汎用機からサーバに置き換えるプロジェクトを開始、現時点で4年が経過した。

「開発当初の発注金額は130億円で、最近では2016年1月から始まる番号制度(マイナンバー)などにも新たに取り組むようになり、総額の規模は大きくなっている。札幌市としては命運をかけた一大事業で、緊張感を持ってスタートした」

 開発体制は初年度こそ4名だったが、現在ではピークを迎えており、システム開発担当課長である長沼氏の下に32名、さらにシステム対象の業務内容やどんなシステムが必要かを語ってくれる専任職員も同等規模おり、総勢約60名の体制となっている。

「これだけの規模で進めているプロジェクトなので、1年でも遅らせると追加コストも膨大になる。まずはきちんと期間内に終わらせることに留意している」

 長沼氏によれば、汎用機からサーバへのリプレイスは「現在ほとんどの自治体が取り組んでいる事業」とのことだが、他都市と同様に札幌市の課題として、これまでリース契約のハードウェアは“機種指定の競争入札”だったという。

「ソフトウェアベンダから、この機種でなければ動作確認できないと言われると反論ができなくなってしまう。そのため止む無く、一応競争入札ではあるものの、ハードウェアについては機種指定で行っていた。またソフトウェアについては、開発も保守も競争入札ではなく、特定ベンダとの随意契約だった」

 これを新たに開始するプロジェクトでは、機種指定をしないハードウェアの競争入札を、またソフトウェアについても保守を含めて、原則競争入札にすることにした。また発注先についても複数ベンダに移行し、管理主体についても、従来のベンダ依存体質から、自分たちが業務を発注し、主体性も確保していくことを目指した。

「そしてもう1つ、今まで開発や管理の方法については、単一ベンダのノウハウに頼るところが多かったが、これからは産総研のAIST包括フレームワーク(後述)を利用することにした」

 札幌市では、こうした数々の新たな取り組みによって、これまでハードウェアも含めて年間16億円だった経常的な経費を11億円にすることを目標に掲げた。

プロジェクトのきっかけは、“市民感覚”を持った新市長からの検討指示

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 次に長沼氏は、札幌市が今回の“130億円プロジェクト”に乗り出すことになった経緯について言及した。

 プロジェクト開始の6年前、2004年に札幌市では職員出身の市長から、弁護士出身の上田 文雄市長へと交代した。新しい上田市長は市民感覚を非常に大事にする人で、役所が行っている随意契約に大きな不信感を持っており、同じ折、某TV番組で競争入札が行われていない自治体の現状が放映され、税金の無駄遣いだという批判があること、ソリューションとしてのオープンシステムがあることなどを知ったという。

「そこで我々が呼ばれ、札幌市はどうかと聞かれたが、ほとんどその番組の通り。我々自身には、ベンダに必要以上のコストを払っているという意識はなかったが、随意契約が続いている以上、納得してもらうことは難しかった」

 そこで市長からは現行システムの検討を指示されたが、実際のプロジェクト開始は2010年。この間、6年もかかっている。

「2005年、2006年頃には、オープン化をするためには多大な経費がかかるので難しいという説明を市長には繰り返していたが、それでは許してもらえず、2007年からは真剣にオープン化を検討していこうという流れができてきた」

 そして2008年、外部有識者による検討委員会を設置して、本格的にオープン化の検討を開始、2009年には基幹系情報システム再構築の意思決定を行い、ついに2010年、プロジェクトがスタートした。

 この検討時期の間に、情報化推進部には副産物としてIT投資管理のノウハウも随分と貯まり、全庁のシステムのIT投資評価体制を確立するに至った。

【次ページ】オープン化プロジェクトがもたらした3つの成果

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