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  • 2017/12/22

労働時間を減らすだけでは業績に悪影響、「業務の再配分」はどう進めればよいのか

「業務改革に関する実態調査」詳報

BPMに関する調査や研究、普及活動を行う一般社団法人日本ビジネスプロセス・マネジメント協会(以下、日本BMP協会)は2017年8月から1か月をかけて、主に上場企業を対象とする「業務改革に関する実態調査」を実施した。同調査を実施した同協会 理事 事務局長の横川省三氏は「ビジネスプロセスの定義とモニタリングによる『業務の再配分』が働き方改革に向けた業務改革のポイント」 と指摘、働き方改革に対して業務改革が果たす役割や、AIおよびRPA(Robotic Process Automation)の活用状況などを示した。

執筆:レッドオウル 西山 毅

執筆:レッドオウル 西山 毅

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

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一般社団法人日本ビジネスプロセス・マネジメント協会
理事 事務局長
横川 省三 氏

時間外労働を削減するだけでは業績に悪影響

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 日本BMP協会が実施した「業務改革に関する実態調査」は、主に東証1部/東証2部/JASDAQなどの新興市場に上場する企業2472社を対象に、調査票を郵送で配布/回収してまとめられた。有効回答数は339社で、1000人以上の企業が6割を占める。

 実際の回答者は部門長クラスで、回答部署としては、情報システム部門42.8%、経営改革部門21.2%、人事部門15.0%の順に多く、業種は製造業38.9%、運輸・情報通信業18.9%、商業13.9%、サービス業12.7%などとなっている。

 ではまず働き方改革の取り組み状況についてだが、主幹部門としてはやはり人事部が最も多く51.0%で、働き方改革推進室のような組織を新設したという企業も6.5%ある。一方で具体的な取り組みを行っていないという企業も9.7%見られた。

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「働き方改革」取り組みの主体部門

 また働き方改革のための人事制度上の取り組みとしては、ノー残業デーの導入が65.5%でトップ、次に時間外労働の事前申告54.9%、フレックスタイムの導入40.1%、場所や時間の多様化を後押しするテレワーク・在宅勤務の導入36.3%と続く。「第12回 BPMフォーラム 2017」で登壇した横川氏は次のように述べる。

「日本のサービス生産性の低さや少子高齢化の中で、今の働き方改革は、とにかく長時間労働を良しとしない文化を作ることが大きな主旨となっている。その観点では、ここで上位に挙がっている取り組みは、あながち悪いとは言えない。しかし、単に時間外労働をしないようにするというだけでは、労働時間の減少が企業の業績に悪い影響を与えかねない。求められるのは、業務改革という観点からの働き方改革だ」

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働き方改革、人事制度上の取り組み

成功のカギは業務を可視化して再配分すること

 それでは日本企業は、業務改革の観点からの働き方改革を、どのように進めているのか。

 最も多かった回答が、業務プロセスの見直し/改善/改革を進めているというもので62.5%、2位以降、労務時間の削減を意図したITツールの導入33.3%、引き継ぎを容易にするための標準化・マニュアル作り23.0%、業務の再配分のための業務可視化20.4%と続いている。

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働き方改革と業務改革の関係

 ここで横川氏は4番目に挙がっている業務の再配分という点について触れ、「いくら業務を効率化しても人によってスキルは異なり、早く帰ることができる人もいれば、そうでない人もいる。この業務の再配分まで持ち込めるかどうかが、業務改革が成功するかどうかの重要なポイント」だと強調する。

「業務再配分のための可視化に取り組んでいる日本企業は現状2割程度。働き方改革に直結するような業務改革には、まだまだなっていないということが、この数字から見て取れる」

 さらに業務の再配分に関連して横川氏は、オリックスグループのシェアードサービスセンタとして活動するオリックスビジネスセンター沖縄(以下OBCO)の取り組みについて言及した。

「OBCOでは、今まで標準化が難しいとされてきた非定型業務も、業務を可視化し、測定することでさらに細分化し、その各業務を難易度低/中/高の三段階に分類することで再配分を可能にした。まずは属人的な業務も含めて可視化し、各業務の特性を把握して、他の人に回せるぐらい容易なものか、あるいは専門性の高いものかまでブレイクダウンできるかどうかが、再配分による業務改善を成功に導くための1つのカギ」

RPAの導入率は?ポイントは業務の特性と作業量を把握すること

 次にRPA、AIの活用状況についてだが、RPAについては、すでに活用している企業10.0%と導入を検討している企業44.2%を併せれば、半数を超えている。またAIについては、活用している企業が4.1%、検討中の企業が13.0%で、メディアなどでの情報が先行しているというのが実情のようだ。

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AI、RPAの導入状況

 またRPA、AI活用の狙いについては、業務の効率・生産性を高めるという目的が93.0%と圧倒的に多く、続いて既存業務の提供価値を高める47.9%、これまでにない価値を持った業務を創出する23.9%、不足している労働力を補完する23.5%と続く。

「では実際にRPAを適用して業務を効率化するとは、どういうことなのか。ここでもOBCOの取り組みが非常に参考になる」

 OBCOではBPMNフローも活用して、業務を全体業務フロー(プロセスレベル5)→詳細業務フロー(プロセスレベル6)→詳細業務手順(プロセスレベル7)というステップで細分化し、最も粒度の細かいプロセスレベル7のプロセスに対して、RPAを適用している。ちなみにプロセスレベル7のプロセスとしては、たとえばこの実行ボタンをクリックするとか、このファイルを開くといった最小単位の業務手順だ。

「RPAを導入するためは、それぐらい細かく仕事を分析する必要があるということだ。この点をまず理解しなければならない。そして実行ボタンをクリックするなどの単純作業が一定ボリューム以上、たとえば1人月分以上あるということが見えてこなければRPAの導入効果も生まれにくい。OBCOのように業務を可視化し、各々の特性を理解し、計測して業務量を把握して初めて、RPAを適用する領域と効果も明確に見えてくるということ」

【次ページ】業務改革の課題、1位はコスト削減、働き方改革は何位?

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