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  • 2015/09/16

スマートニュース 鈴木 健氏が考える「ニュースアプリは流行らない説」が覆った理由

スマートフォン向けニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」は、日本におけるニュースアプリのカテゴリにおいて先駆者的な存在として知られている。テック・カンファレンス「Tech In Asia Tokyo 2015」に登壇した同社 代表取締役会長 鈴木 健氏は、これまでの自身の失敗談やスマートニュース立ち上げ当時の心境を吐露しながら回想した。モデレーターは、クラウド会計ソリューション「freee」を提供する freee 佐々木 大輔氏が務めた。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

最後まで諦めない気持ちと続ける覚悟が成功につながった

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(写真左から)スマートニュース ファウンダー CEO 鈴木 健氏、freee 代表取締役 佐々木 大輔氏
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 佐々木氏は鈴木氏に対して「これまでの成果のなかで、誇りに思っていることは何か?」と質問した。これに対して鈴木氏は「2012年12月にリリースしたとき、初日で4万DLを達成したことだ。まさにイノべ-ションを起こすと、本当にこういうことが起きるのだと実感した」と答えた。

 実は2010年頃から、同氏はスマートニュースの元になる“Crowsnest”(カラスの巣が転じ、見張り台という意味)というサービスをリリースしていた。情報を見通よく集めるために、Twitterのつぶやきをクロールし、その人にとって面白いニュースをタイムラインから探し出すものだった。

 しかし、Crowsnestは結果的に1年間で数万人のユーザーしか集められずに、失敗に終わってしまった。いよいよ資金も使い尽くし、最後に共同創業者の浜本 階生氏と、米国のインタラクティブ・フェスティバル“サウス・バイ・サウス・ウェスト”でプレゼンを行うという賭けに出た。しかし、現地での反応もよくなかった。挫折感で肩を落として日本に帰る二人。飛行機のなかで、もう事業を止めようという話になった。

「しかし、そのとき階生さんが『一文無しになったが、僕はまだ続けたい。もう一度やりたい』と言ってくれた。その強い思いで自分も続けようと決意した。その後、スマートニュースにピボットしたところ、口コミで爆発的に広がった。Crowsnestが1年かけて集めたユーザーを、わずか1日で集められた。目標の10倍の速さで成長を始めた。これまでに自分が最も誇りに思っていることは、共同創業者の階生さんと共に、この事業を諦めずに続けようと決めた覚悟だった」(鈴木氏)

オフライン機能というイノベーションが成長要因

 鈴木氏は続けて「スマートニュースを出した当時、ニュースアプリは流行らないという意見が強かった。実際にAppStoreでも、ニュースアプリの順位は全体の200位ぐらいで、スマートフォンではニュースを読まないだろうと思われていた」と当時の状況を振り返った。

 佐々木氏は、スマートニュースが従来のニュースアプリと何が違ったのかを尋ねた。鈴木氏は「いくつかの要因はあったが、“スマートモード”という機能を入れたことが大きい」と語った。

「地下鉄では誰もがゲームばかりをやっていて、ニュースは読まない。なぜか? と疑問に思っていたが、電波が届かないためだった。そこで、どこでも記事が読めるオフライン機能を搭載したところ、これが非常に好評だった」(鈴木氏)

 とはいえ、スマートニュースを開発している段階では、オフライン機能が受けるかどうかも確信が持てなかったという。佐々木氏は「では、ニュースアプリについて試行錯誤しているうちに、この分野が成長しない原因について気づいたということなのか?」と確認した。

「プロダクト開発時には、ずっとプロダクトのことを考えていることが多く、視野狭窄になりがち。どうしても自分の使いたいものだけを考えてしまう。しかし多くの人に使ってもらうには、それではダメだ思う。彼らがどういう問題を抱えているのか、しっかりと考える必要がある。意図的に自分の考えを崩していかなければならない」(鈴木氏)

 このようなプロダクトデザインに対する考え方について、佐々木氏も大いに賛同する。「会計ソフト業界では、従来まで会計情報を手入力で行っていた。彼らは、もっと早く入力できるソフトをつくりたいという。しかし、我々のFreeeでは、入力しなくてもよいアプリにしようとした。業界内では一体何を考えているの? と言われてしまうが、業界から一歩引いてみると新しいイノベーションが生まれてくるように思う」(佐々木氏)

【次ページ】ニュースアプリにはバランスが求められる

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