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- 2016/05/27 掲載
IBM、MS、ライフネット、AIGも注力するLGBT支援、人事施策だけでなくビジネスにも拡大
「東京レインボープライド 2016」レポート

日本でLGBTの理解は深まっているのか?
5月7日(土)および5月8日(日)、LGBTをはじめとするセクシュアルマイノリティがより自分らしく生きていくことができる社会の実現を目指すイベント「東京レインボープライド 2016(以下、TRP2016)」が、代々木公園イベント広場にて行われた。「LGBT」は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の頭文字から成る。セクシュアルマイノリティを意味する概念(言葉)として、日本でも1990年頃から使われているという。そんな中、渋谷区や世田谷区が同性カップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ証明書」や「パートナーシップ宣誓書受領証」の発行を始めたのが昨年。これは大きな一歩ではあるが、まだまだこうした取り組みは少なく、あたりまえのこととして受け入れられてはいない。
現実的な施策も理解もまだまだ足りていないという状況なのだ。会社の中で、地域のコミュニティで、日常に生活している周囲でLGBTの人たちの存在を感じるだろうか? 映画や物語など、さまざまなシーンで描かれることはあるが、決して身近なものになっていないテーマの1つだ。
TRPはこうしたLGBTが抱える問題をより広く知ってもらおう、LGBTである人もそうではない(セクシュアルマジョリティ)人も、多様な個性を持つ誰もが生きやすい社会を一緒に考えようというもの。2012年から行われている。5年目のTRP2016では、ゴールデンウィーク(4月29日から5月8日)を「レインボーウィーク」として各地で60近くの関連イベントが行われた他、5月7日、8日に代々木公園イベント広場にてフェスタ&パレードが行われ、パレードに4500人、イベント会場の来場者をあわせて7万500人の参加者が集まった。

実際にLGBTやダイバーシティに向けて取り組んでいるという企業の出展も多く、自社内の人事制度などの施策だけでなく、具体的なサービスとして一般向けに提供を始めているところもある。
採用におけるLGBT支援の手ごたえを感じるIBM、社内教育に力を入れるマイクロソフト
日本の企業においても、ここ数年、ダイバーシティへの関心が高まっている。社会全体が多様化・グローバル化し、ものを作る、売るにしても、国内市場だけを見ていては限界という状態で、いかに多様な視点、価値観を取り入れるかが重要な戦略となってきているからだ。LGBTに取り組むというのは、ある意味自然な流れなのかもしれない。
日本IBMでは、2003年頃からLGBTへの取り組みを始めている。もともと米本社は「人種、肌の色や宗教にかかわらず平等な条件で雇用する」というポリシーのもと、LGBTに対し先進的な取り組みを行ってきた。日本法人としては、2012年には結婚祝金を事実婚にまで拡大し、同性のパートナーとの事実婚も対象とした。さらに、2016年1月、社員が同性のパートナーを登録する「IBMパートナー登録制度」を日本IBMで独自に新設。パートナーを登録することで、特別有給休暇や赴任時の手当、慶弔金などの福利厚生や人事制度についてパートナーを配偶者と同等の扱いにできるようにした。

PA & ソフトウェア・パートナー・プログラム
部長
川田 篤氏
同社 川田 篤氏によると、今回のようなイベントのブースに訪れた学生が日本IBMに就職し、次の年にはスタッフとしてブースに参加するという例もあったという。ただ、社内の、特に30代~50代の社員の意識改革はまだまだ課題だとのこと。社外にこうした自社の動きを伝えることで、社内にフィードバックし活動を加速する、そしてそれをまた外部に発信するという流れで続けているという。
日本マイクロソフトでは、2013年にGLEAM(Gay Lesbian, Bisexual, Transgender Employees at Microsoft) JapanというLGBTコミュニティが発足。ちなみに、米本社のGLEAMの発足は1993年。定期的な社内イベント、LGBTに関する社内トレーニングを展開するほか、こうしたブライドパレードに参加している。

【次ページ】LGBT向け商品を展開したライフネット生命、AIGグループ
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