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  • 2018/03/15

多発する「海外子会社におけるリスク」、日本企業はどう対応すればよいのか?

近年、日本企業で「競争法・独禁法違反リスク」「海外子会社におけるリスク」という2つのリスクが大きな注目を集めている。なぜこうしたリスクが問題視されるのか? そしてそのリスクを看過した場合、どのような被害が発生しうるのか? 具体的な事例をもとに、デロイト トーマツ 企業リスク研究所 主席研究員の茂木寿氏がその対策方法を解説した。

フリーライター 中村 仁美

フリーライター 中村 仁美

大阪府出身。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在は主にIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。ネコと歴史(古代~藤原時代、戦国時代)好き。

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攻めるためにはリスク管理が欠かせない
(©SB - Fotolia)

グローバル化に伴うさまざまなリスクが発生

 茂木氏によれば、近年、事業の多角化、国内外の拠点数の増加に伴い、日系企業の次のような課題に対応する案件が増えているという。

  1. 企業グループとして、国内外のどの拠点、どの事業にどのようなリスクが存在するか把握できて折らず、いつ。どこで大きな損失が発生するかわからない
  2. 外部環境の日々の変化により潜在的なリスクが高まる中、経営陣がそれらのリスクを確認できる機会は、数回程度にとどまっている
  3. ある国・地域のリスクが他の国・地域の事業・拠点へ与える影響を評価できていない

 そこで同社では企業が受ける影響およびその軽減のために確認すべきポイントを記した「戦略リスクへのリアルタイムレスポンスサービス」を発行している。

 2月27日に開催された勉強会では、その「戦略リスクへのリアルタイムレスポンスサービス」から最近、増えている2つのリスク「競争法・独禁法違反リスク」「海外子会社におけるリスク」について解説がなされた。

 講師を務めたのは、トーマツのディレクターでありデロイト トーマツ 企業リスク研究所首席研究員の茂木寿氏だ。茂木氏は企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメントを専門としている人物。ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)を基にしたグローバル経営管理体制の構築、海外危機管理・テロ対策、地震などの災害対策を含む事業継続マネジメント体制構築の他、広報危機管理、鳥インフルエンザなどの感染症対策等、多数のプロジェクトに携わっている。また政府機関・公的機関の各種専門委員会(経済産業省、国土交通省、JETOROなど)も数多く務めている。

事例にみる「競争法・独禁法違反」によるリスク

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 茂木氏が1つ目のリスク「競争法・独禁法違反リスク」で取り上げた事象は「米大手メーカーの各国競争法・独禁法違反に対する課徴金」だ。

 米国のある半導体メーカーは、販売先である携帯電話メーカーに対し、報奨金を支払うことの見返りに、競合他社との取引を行わないように求めていた。そこでEU欧州委員会が、製品販売を巡り公正な競争を妨げたとして1,350億円という多額の課徴金を科したという事象である。

「諸外国における競争法・独禁法違反による課徴金は非常に多額だ。さらにレピュテーションを損なう可能性もある」(茂木氏)

 また、この半導体メーカーは特許を取得していたことから、それを使用するメーカーに対し、不当に高いライセンス料を請求していたという。その請求を巡り、中国や台湾、韓国において独禁法違反で多額の課徴金が科されている。

「競争法や独禁法違反に伴う課徴金は、欧州は全世界売上高の10%。米国は公表していないが、多額の課徴金を課すと言われている。しかしこれらの課徴金でこれまでつぶれた会社はないので、その辺りのさじ加減をしている」(茂木氏)

 米国では不正を調査前に申告すると、減免されるというリニエンシー(課徴金減免)制度が浸透しているため、業界ごと巻き込まれるリスクがあるという。

 また中国では特に競争法や独禁法に関して厳しくなっており、「自動車部品や国際航空貨物などの業界が摘発されるケースが増えている」と茂木氏は説明する。

 さらに近年では国際カルテルの連携が各国の政府間で進んでいるため、EUで課徴金を支払った企業がその他の国でも事業を展開していたら、その国でも課徴金を支払うことになる。

課徴金支払いリスクを軽減する4つの確認ポイント

 ではこれらのリスクを軽減するためにどうすれば良いのか。確認すべきポイントについて茂木氏は以下を挙げた。

  1. 法令違反となる要件が各国で異なることに留意し、各国における法令違反リスクを評価しているか。その際「商慣習として通常行われているが、法令違反となる行為」についても考慮した上でリスク評価を実施しているか。
  2. 上記に対し、各国の競争法・独禁法の改正状況のほか、世界各国の当局による摘発件数の増加など運用の厳格化の状況を確認してリスクを評価しているか。
  3. 競争法・独禁法違反発生時の自社グループの財務への影響を評価し、リスク軽減策の実行やそのためのリソース投入の是非について、経営陣の責任において意思決定をしているか。
  4. 国内外拠点における法令順守にかかわる内部統制の整備・運用状況の実効性を検証すること、法令・コンプライアンス違反リスクを未然に防ぐことを目的とした施策(ルールに対する従業員の理解度の確認や外部環境の変化に応じた定期的な見直し、コンプライアンスにかかわるルールや内部統制の整備・運用状況を検証する内部監査など)を導入しているか。

【次ページ】事例に学ぶ、海外子会社におけるリスク

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