市場セグメント別に見ると、クラウドアプリケーションプラットフォーム市場が232億2,400万円(前年比成長率42.7%)、クラウドデータサービス市場が71億3,700万円(前年比成長率61.9%)で両市場がPaaS市場全体の9割を占めている。
PaaS市場は企業の情報系カスタムアプリケーションの基盤としての需要をつかみ、まずクラウドアプリケーションプラットフォーム市場が立ち上ったが、先行して拡大したIaaS(Infrastructure as a Service)とのインテグレーションでの活用やDWH(データウェアハウス)向けのクラウドサービスの登場により、クラウドデータサービス市場が急速に拡大している。
PaaS市場はクラウド専業ベンダーにとどまらず多くのITベンダーの注力分野となっており、今後も高い成長が続くと期待される。2019年に当該市場規模は1,038億円となり、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は25.3%になるとIDCでは予測している。
2014年におけるPaaS市場のベンダーシェアはセールスフォース・ドットコムが1位、アマゾンが2位だった。Force.comで市場に参入したセールスフォース・ドットコムが市場をけん引するポジションを維持。2位のアマゾン、3位のマイクロソフトはIaaSとの連携を行いながらクラウドデータサービス市場で高いシェアを獲得しているという。
IBM、オラクルなどの大手ソフトウェアベンダーもPaaS分野の取組みを強めている一方、ビッグデータ処理、IoT(Internet of Things)のバックエンドとしても有望視されている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティグループ マーケットアナリスト 草地慎太郎氏は「ベンダーの新規参入が相次ぎ、SoE(Systems of Engagement)を活用したニュービジネスの提案は競争の度合いを増している。しかし海外と比較して相対的にニュービジネスに慎重な国内市場におけるユーザーの盛り上がりは十分とは言えない。顧客のシステム運用の効率化を支援するだけでなく、PaaSのような新しい技術を活用し企業の新規ビジネスをテクノロジー面からサポートする新しい形の提案が求められる」と分析している。