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  • 2018/07/10

大半は人工“無能”、それでも「見極めて使うべき」、ガートナーがAIの最新動向を解説

人工知能(AI)は、企業のデジタル化にとって重要なコア・テクノロジーであるが、いまだに多くの誤解や神話が見られ、混乱が続いている。チャットボット、開発フレームワークなど、AIに関する主要なトレンドについて、ガートナーのバイスプレジデント兼最上級アナリスト、亦賀忠明氏が解説する。

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人工知能が「無能」だとしても利用しない理由にはならない
(©kid_a - Fotolia)

「人工無能」は見極めて使う

 ガートナーのハイプサイクルで見ると「AIに対する『過度な期待のピーク期』が2年くらい続いている」と亦賀氏は話す。

 そして「短期的にはこれから『幻滅期』に入ると考えられるが、中長期のインパクトは大きく、デジタルビジネスの中核を担うことは間違いない。今は引き続き『可能性を探る』『試す』フェーズだ」と続けた。

 AI“関連”という意味では、チャットボットに関する質問がガートナーに多く寄せられているという。中でも多いのは、「どれを選ぶのがいいのか」という質問だ。日本におけるAIの選択肢は、今のところ数十ある。

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チャットボット提供ベンダーのおおよその区分
(出典:ガートナー)

 そして「AIチャットボット」という言葉も生まれて、何が“本物”のAIか分かりづらくなっており「市場はカオス」というのが、ガートナーが見る現状だ。無償~月額数千円という低コストで利用できるものから、ベンダーが提供するものでは1,000万円以上かかるものまで、非常に幅が大きくバリエーションがある。

 そこで亦賀氏は、いま市場に出てきているチャットボットを「人工無能」「AIと呼べるが過度な期待は禁物なもの」「人工知能の研究」の3つに大まかに区分してみせた。

現在のところ「人工無能」が中心

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 「ポイントは『人工無能』。AIと呼ばれてはいるが、大半は“無能”」と亦賀氏はいう。これはけなしているわけではなく、知能・学習の要素がないということだ。「人工無能」に分類されるチャットボットは、投げかけられる言葉に対するすべての返答をあらかじめ登録しておく必要がある。そのため、時間をかけた作り込みに思いのほか手間がかかる。

 一方、対極にあるのは「人工知能の研究」に分類されるものだ。マイクロソフトの「りんな」やアップルの「Siri」などがそれに当たり、汎用人工知能(AGI=Artificial General Intelligence)に向けてベンチャー、大学、研究所などで研究が続けられている。

 「AIと呼べるが過度な期待は禁物なもの」に区分されるのは、自然言語理解(NLU=Natural Language Understanding)に独自言語処理エンジンを使っているものだが、インプットされる言葉の解釈にAIが使われているということであり、AI活用は一部にとどまる。

 亦賀氏は「『人工無能』に分類されているものが『AI』として打ち出されているケースも散見する。違いを理解しておかなければ、投資に対して期待したものが得られないこともある」と注意を促す一方、「AIは初期段階なので、当面のビジネスで使うには『人工無能』が妥当と捉えるべき」と説く。

「大事なことは、今後に備えてまずは使ってみること。どれが良いかを評価するというよりも、『自分で運転』してみてスキルを獲得する一環だと考えるとよい」(亦賀氏)

注目すべきはAI開発プラットフォーム

 チャットボットだけでなく、AIそのものについても市場はやはりカオスだ。亦賀氏は、AIの市場をスタックで、「ソリューション」「アプリケーション」「ミドルウェア」「エンジン」「ハードウェア」のレイヤーごとに見ることを勧める。

 その中で、見逃してはいけない重要なトレンドとして「AIプラットフォーム」を亦賀氏は挙げた。2017年までは、APIによるAIが話題だったが、2018年はそれが少し落ち着いてきて、AIプラットフォームに関心が移ってきたのだという。

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注目すべきはAIプラットフォーム
(出典:ガートナー)

 アマゾンは機械学習プラットフォームSageMakerを、昨年11月に米国ラスベガスで開催されたAWS re:Invent 2017で大々的に発表した。マイクロソフトはMicrosoft Cognitive Toolkit(CNTK)を、IBMはWatson Machine Learningを提供、グーグルはTensorFlowを推進する代わりにPrediction APIを廃止しし、AIプラットフォーム競争が始まっている。

 これまでユーザー企業は『いいAIはないか』と探していた。しかし機械学習・深層学習による『予測』は作り、試す、その繰り返しが前提となる。ユーザー企業は、ベンダーに作ってもらうのではなく、フレームワークやアルゴリズムライブラリを用いて『自分で運転』する方向へシフトしてきているということだ。

 「IBMはWatson Data Platformを2017年11月に強化した。エンジニア、データサイエンティスト、アナリストなど、AI開発に関わるプレイヤーのロールを想定し、プロセスとしてAIのデリバリを行うための新しい仕掛け。統合されたプラットフォームの上で、さまざまなロールの人間がコラボレーションし、作り、試すを繰り返すのが、今後のAI開発のあり方の一つとなりうる」と亦賀氏は説明した。

【次ページ】POC「とにかくやってみる」は避ける

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