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  • 2020/04/28 掲載

顧客体験(CX)をAIで高度化する方法とは?ガートナーが注目技術や活用法、事例を解説

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顧客体験(CX:Customer Experience)の向上に向けて、人工知能(AI)を活用する動きが広がりを見せている。認識速度が人間より格段に速く、しかも学習を通じて認識能力の向上が可能なAIは、今後CXでも非常に重要な存在となることが見込まれる。一方で、AIの活用に課題を抱える企業も多い。ガートナー シニア ディレクター,アナリストのブライアン・パトリック・マヌサマ氏が、CXの向上に向けたAI活用の課題、活用を見込めるAI技術、具体的な活用方法について、事例も交えながら解説する。
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顧客体験(UX)の向上にAIが果たす役割が大きくなってきた
(Photo/Getty Images)

AIに苦労しつつもCXへの活用は着々と

 AIの登場が顧客体験(CX)に大きなインパクトをもたらしている。理由は明快だ。近年の技術革新により、AIはテキストや画像、音声など、非構造化データも適切に認識できるまでになった。しかも、認識速度は人間より格段に高速で、学習を通じて能力を高められる。この特性から、たとえばチャットボットへの応用を通じて対話品質を高めたり、人の動きの分析結果から店内のレイアウトを見直したりすることで、さらなるCXの向上を見込むことができるからだ。

 ただし、「AI活用は一筋縄ではいきません」と指摘するのは、ガートナー シニアディレクター,アナリストのブライアン・パトリック・マヌサマ氏だ。それは、ガートナーが世界中の1000人以上のCIOを対象に毎年実施する「CIOサーベイ」からも見て取れる。同調査ではAIの採用動向について尋ねているが、その結果を見ると、2019年に「1年以内に導入する」と回答した割合が23%だったのに対して、2020年の「導入済み」との回答は4ポイント低い19%だ。


「両者のギャップから浮かび上がるのは、導入を試みるも活用には苦労しているという現実です。また、AIの採用に向けた課題として、『スタッフのスキル』や『AIのメリットと利用に向けた理解』を、それぞれを56%、42%のCIOが挙げています。この結果の意味するところは、AI利用に向け、いまだ組織として成熟していないということなのです」(マヌサマ氏)

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AI/機械学習の採用における3つの主要な課題
(出典:ガートナー)

 だが、こうした中にありながらも、CX向上に向けたAI活用は徐々に、かつ着実に広がりつつある。2019年のAIの活用状況を見ると、AIを利用中の企業の用途として、「チャットボット」(26%)が最も多く、「プロセス最適化」(26%)、「コールセンターの仮想個客アシスタント」(12%)、「顔検出/顔認証」(11%)なども挙げられた。それらはいずれも、顧客との接点に関わっている点で共通する。

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AIの活用の状況
(出典:ガートナー)

「感知」「思考」「実行」におけるAIの有効性

 CX向上に向けた活動は、AIの活用を問わず、一般に「感知」「思考」「実行」の一連のサイクルから成る。

 最初の「感知」で、顧客にまつわる多種多様なデータから、何らかの意味を見出す。次の「思考」では、見出した意味から、関係改善の手がかりを見つけ、それを実施した際の効果を予測する。そして、「実行」において、具体的にアクションを起こすとともに、このサイクルを継続的に回し続けることで、CXの段階的な改善を目指すわけだ。AIは、それらすべてのフェーズで活用を見込めるという。

 まず、「感知」で役立つのが、文書や音声や、映像、画像などの認識技術だ。

「認識技術を使うことで、顧客が発するメッセージや行動を、人が行うよりもはるかに大量に把握することが可能となります。人の話からリアルタイムに感情を分析するAIも登場しており、これまで人頼りであった心理の類推も、仕組みとして可能になっています」(マヌサマ氏)

 流通業などでは映像分析を活用する企業もすでに多いのだという。具体的にはセキュリティカメラなどの映像を基に、AIにより性別や年齢、動線などを把握し、店内の人の流れや、商品の配置場所の改善などに役立てる。また、感情分析もコールセンターなどで利用が広がっているという。両者ともカメラなどの既存設備をそのまま利用でき、取り組みに容易に乗り出せるのが魅力だ。

 次の「思考」段階は、今後のAI活用で最も期待される領域だ。AIは大量データから何らかの傾向を見つけ出すことを得意とする。「人の思考が2次元だとすれば、AIの思考は3次元。対象を捉える視点が人と比べて格段に多く、極めてダイナミックな予測に基づく提案が実現されます」とマヌサマ氏は強調する。

【次ページ】人では気づけない“兆し”をAIが炙り出す

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