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  • 2018/09/06

ドローンは“貧者の武器”になってしまったのか?

春原久徳連載:ドローンが描くビジネスの未来

8月、ベネズエラのマドゥロ大統領の演説中、大統領のそばでドローンが爆発しました。ここ数年、世界ではこのような悪意ある第三者による民生用ドローンの不正利用・攻撃のニュースが増えてきています。それにも関わらず、対策は追いついていません。悪意あるドローンはなぜ増えているのか。具体的にどう対応すればいいのか。ドローンにかかわる事業者がすべきことを解説します。

ドローン・ジャパン 取締役会長 春原 久徳

ドローン・ジャパン 取締役会長 春原 久徳

三井物産デジタルおよびマイクロソフトでPCマーケットの黎明期からPCの普及に貢献。 2013年ごろからドローンビジネスに身を投じ、2015年にセキュアドローン協議会会長に就任。ドローン・ジャパン株式会社を2015年12月に設立し、取締役会長に就任。

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ドローンは手頃な武器になってしまったのか
(©Prazis Images - Fotolia)

民生ドローンが攻撃に使われるようになった

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 2018年8月4日、南米ベネズエラのマドゥロ大統領が、首都カラカスで開かれた軍の行事で演説中、爆発物を積んだ複数のドローンが爆発する事件がありました。政府は大統領暗殺未遂とみています。兵士7人が負傷したが、大統領は無事でした。

 2016年ぐらいから、こういった民生ドローンによる攻撃のニュースが多く聞こえています。

 2016年10月上旬、C-4プラスチック爆弾を積載したイスラム国のドローンは、イラクのエルビルにて、2名のクルド民兵を戦死させ、2名のフランス特殊部隊兵士を負傷させました。

 2018年1月には、13機のドローンがシリアに展開するロシア軍を襲撃した。10機がフメイミム空軍基地へ、3機がタルトゥース海軍基地に向かい、攻撃を行いました。

 これらは固定翼タイプの無人機であり、10発の爆弾を抱えていました。ロシア国防総省の公式発表によれば、7機は対空ミサイルによって撃墜され、残り6機は対ドローン電子戦装置によって強制着陸させられました。着陸に至った6機の半数の3機が爆発し、結局、3機が手に入ったといいます。

“貧者の武器”

 元々、無人機であるドローンの開発は軍事目的で行われていました。開発の歴史は古く、第二次世界大戦前から行われていました。結局実用化にこぎつけたのは第二次世界大戦終了後になりますが、その後、アフガニスタン戦争やイラク戦争では実際に爆撃に使用されています。

 しかし、ここ数年の問題点は、「軍事用」のドローンではなく、「民生用」のドローンが攻撃に使われているということです。

 Improvised Explosive Device(IED)という言葉があります。これは、あり合せの爆発物と起爆装置から作られた簡易手製爆弾の総称です。こういった簡易型爆弾と民生ドローンを組み合わせることで、今まで非常に高価だった誘導型ミサイルを安価に作ることができるようになりました。

 ここに大きな問題が潜んでいます。つまり、民生ドローンとIEDが浸透したことで、殺傷能力と操作性の極めて高い武器を低予算で作ることが可能になり、“貧者の武器”が登場したのです。

ドローンの脅威の内容

 ドローンの脅威は上述した攻撃以外にも、さまざまな脅威があります。

 一つがスパイ活動で、盗撮や偵察などがあります。また、現場のドローンをつなぐITネットワークの内側からサイバー攻撃を仕掛けるなどといったサイバー関連のものもあります。

 また、密輸も脅威の一つです。欧米では刑務所内へ日常的にドラッグ、工具、武器を運ぶことが大きな問題となっています。そして、爆弾などを搭載していないケースでの単なる衝突や落下も人や物に危害を与える危険性があります。

ドローンの社会実装が進む中でのリスク

 ドローンは太陽光パネルなどの点検、測量、災害調査、農薬散布といった分野で社会実装が進んできています。今年中には、人口集中地区以外での目視外飛行のルール(Level3)が定まり、物流への活用も徐々に進んでいくでしょう。また、2020年に向けて、人口集中地区での目視外飛行のルール(Level4)も検討されています。

 こういった形でドローンの社会実装が進んでいく中で、同時にドローンを悪用したリスクも高まっており、その対策も整えていかなければならないでしょう。

【次ページ】悪意あるドローン対策への今後の課題

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