• 会員限定
  • 2018/12/28 掲載

ドローンがインフラを攻撃、ホワイトフォックスは空の治安を守れるか

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
ドローンは近年最も成功したニューテクノロジーのひとつだ。2018年1月、米運輸省はFAA(連邦航空局)に登録されたドローンの数が100万を超えたと発表した。うち87万8000機がホビー用、12万2000機が商業用として登録されている。災害救助や農業、インフラのチェックなどに有用である一方、ドローンを使ったテロへの懸念も広がる。そんな中、敵対ドローンを駆逐する技術も進歩し始めている。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

画像
米国内のドローンの数は増加の一途をたどってきた

23歳の起業家が「ドローン侵入防止」で1,200万ドル調達

 今年12月、カリフォルニア州サンルイス・オビスポスに本拠を置くスタートアップ企業、ホワイトフォックス・ディフェンス・テクノロジー社(以下ホワイトフォックス社)がシードファンディングで1,200万ドルを集めて話題となった。

関連記事
 同社はたとえば貯水池、発電所などの重要なインフラ設備の上空にドローンが侵入することを防ぐシステムに特化した企業だ。

 創業者のルーク・フォックス氏は若干23歳ながら、今年のフォーブス誌が選ぶ「30歳以下の注目すべき業界人30人」の製造業部門に選ばれた。

 ホワイトフォックス社は、2015年の創業以来、メキメキと頭角を現している企業の1つでもある。

 フォックス氏はホワイトフォックス社を設立した理由について「(重要施設への攻撃に対し)地上の脅威についてはフェンスなど、ある程度の防御策が取られている。しかし壁などでは防ぎきれないのがドローンだ。普通に販売されている1,000ドル以下のドローンでも、規制区域に簡単に侵入することができる。つまりドローンは安全、治安面で脅威となりうる」と説明する。

ドローンは通信妨害で止めるべきか

 実際今年8月にベネズエラで起きたドローンによる大統領襲撃未遂事件は、世界中にドローンによるテロの可能性を示唆するものだった。

 もちろんこれまでにもドローンを阻止する技術がなかったわけではない。たとえば英国のリパルス社は、文字通りパルス(信号)を送ることでドローンの侵入を阻止する。元々航空機の離発着の際に滑走路にドローンが侵入し航空機の安全を脅かすことに対抗して作られた装置で、水平、垂直方向にそれぞれ1キロのパルスを飛ばすことができる。そこから地上用の製品も開発され、スポーツスタジアム、政府系建物などの周囲からドローンを排除することが可能だ。

画像
対テロ戦争でのドローン攻撃

 しかしフォックス氏はこうした「ジャム(通信を使った妨害)」によるドローン排除は時に危険を伴なうと指摘する。「ドローンはラジオ波によって操作される。そしてこのラジオ波はWi-Fi、ブルートゥース、モバイルホットスポットなどにも使用されており、ジャム信号がこれらの電波に影響することも考えられる」上に、ジャム信号によりドローンがコントロールを失い、墜落することで被害を出す可能性も考えられる。

 ではより安全なドローンの侵入防止とはどのようなものなのか。フォックス氏はまず大切なのは「認知(対象エリアにどれだけの数のドローンが飛行しているのかを把握すること)」、次に「識別(それらのドローンが危険性のあるものかそうでないかを特定すること)」が重要だと語る。

【次ページ】「怪しいドローン」の排除がインフラの安全を支える

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます