- 会員限定
- 2018/12/07 掲載
NetflixやVTuberにも進出、中国3.5億人の“オタク”パワーが世界を席巻しつつあるワケ
連載:中国への架け橋 from BillionBeats
中国産アニメコンテンツがNetflixと独占契約
「暴走吧!失忆超人(邦題:ネクスト ロボ)」というタイトルのこのアニメは、人間とロボットが共存する近未来を舞台に、中国人の少女「メイ」とピュアで勇敢なロボット「7723」との友情を描いた作品だ。
どこかピクサーの「ベイマックス」を思わせる設定ではあるが、映像のクオリティの高さや、過去のアニメ作品をオマージュしながらも随所にオリジナリティが散りばめられている点が評価されている。
この映画のキーとなる制作会社が、中国でのオンラインコンテンツの走りともいわれる「暴走漫画」である。
暴走漫画は2008年からネット上で「王尼玛」というキャラクターをメインに同人漫画コンテンツ制作ソフトを配信し、同人コンテンツで人気を高めた。2013年からはバラエティ番組「暴走大事件」の配信を始め、毎回数千万回という再生回数を稼ぐほど中国の若者から絶大な支持を得ている。
「暴走吧!失忆超人(ネクスト ロボ)」に登場するロボ「7723」も、王尼玛原作のマンガが元となっており、今回の映画の製作も共同で行っている。時間をかけて国内で独自の製作能力や影響力を培ってきた彼らが、満を持してグローバルに展開する形となった。
「暴走漫画」の動画はなぜ中国から消されたのか
飛ぶ鳥を落とす勢いに見えるが、そう一筋縄では行かないのが中国という国である。Netflixでの配信が発表された直後の5月中旬、突然彼らのメインコンテンツである動画番組「暴走大事件」が、中国のすべての動画プラットフォームから削除されたのだ。きっかけは、中国当局が発令した「英雄烈士保护法」だ。過去の偉人である「英雄烈士」を批判するような表現は罰するという法令である。暴走漫画が2014年に放送した番組で、英雄烈士「董存瑞」を侮辱するような表現があり、それを5月8日に1分ほどの短い動画に再編集し発表したことが原因である(作り手側は「動画の意図は不適切なタイミングの広告に対する強烈な皮肉」と主張している)。相当厳しい処分といえ、中国ならではのリスクである。
そのためか、「暴走吧!失忆超人(ネクスト ロボ)」は9月7日よりNetflixで全世界に配信されているものの、本来予定されていた中国本土での公開は未だにされていないという現象が起きている。
【次ページ】中国大陸から「VTuber」へ熱視線
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR