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  • 2019/04/23

元 堀場製作所北京 駐在員が語る「PM2.5でかすんだ街」はどう変わったのか

連載:中国への架け橋 from BillionBeats

大気汚染や水質などの環境問題が社会課題となっている中国で、売上を伸ばしている会社がある。京都に本社を置く分析・計測機器メーカー・堀場製作所だ。堀場(中国)貿易有限公司北京分公司の前 総経理(=所長)で、現在東京セールスオフィスに勤務する林奨氏に、同社の中国での歩みと環境問題の今を聞いた。

聞き手:三宅玲子+BillionBeats

聞き手:三宅玲子+BillionBeats

三宅玲子 [ノンフィクションライター] (Reiko Miyake)
ニュースにならない中国人のストーリーを集積するソーシャルプロジェクト「BillionBeats」(http://billion-beats.com/)運営。 2009〜14年北京在住。「人物と世の中」をテーマに取材。 本連載は、パートナーの西村友作(対外経済貿易大学教授)、大内昭典(投資会社勤務)をはじめ、BillionBeatsに寄稿する中国在住の各分野の専門家が、一般報道とはひと味違う切り口から持ち回りで執筆。

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2012年1月、北京の様子
(写真:Imaginechina/アフロ)


経済改革の時期に中国に進出

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 堀場製作所は自動車の排ガス計測システムで世界シェアの8割を持つほか、環境やプロセスモニタリング、科学分析装置、医用や半導体の製造工程で使用する“はかる”分野を幅広く手掛けます。

 堀場製作所の技術が世界で認められ始めたのは、1970年代の米国からでした。米国環境保護局へ一足先に納入されていた自動車排ガス用の分析装置を自動車メーカーの方が見られたのがきっかけです。ベンチャー企業として京都で事業を立ち上げたものの、納入実績が少ないなどの理由で大手ユーザーへの販売が難しかった時代の話です。

 その後、中国で本格的に販売を始めたのは1990年代になってからです。中国が社会主義市場経済による経済改革に取り組み始めたタイミングと重なります。

 当初は現地に拠点がなく、商社などを通じて製品販売をはじめましたが、納入台数の増加に伴い独自の拠点が必要となり、1996年初めに北京事務所を開設しました。

 山崎豊子さんの書かれた『大地の子』に宝山製鉄という国営の製鉄所が登場します。当時中国は鉄鋼の生産が大きく伸び始める時代でした。ちょうど私が30代にさしかかる頃に担当していた材料分析用の分析計が多く納入され始めた頃で、宝山鋼鉄にも頻繁に通いました。

90年代の追憶、需要も徐々に高まる

 最初の中国出張は真冬の北京と上海でしたが、北京では訪問した研究所がとても寒く、部屋にいた中国人は全員、分厚いコートを着たままでした。上海では虹橋空港に到着すると、雑踏状態で自分の車に乗せようと多くの手が伸びる中を必死でタクシーに乗っていました。当時中国語のできなかった私は、空港で数名の男に囲まれて荷物を押さえられたまま日本円と現地通貨の両替を要求されたり、深セン空港では白タクに乗ってしまい大金を払わされたりしたことがありました。

 90年代は宝山製鉄を始め全国の工場、大学、研究所や検査機関などで製品説明会(技術交流会)を行いました。技術交流会にセットとなっていた宴会では、白酒をたくさん飲まされるなど、中国の習慣を肌で感じる機会となりました。

 その後中国で経済発展が進み、自動車販売台数で米国を抜いて久しいですが、それでも当初は生産がメインで現地での研究開発投資は小規模でした。そのため、弊社が扱う分析装置の売上は販売台数の割には大きくありませんでした。

 しかし時を追って各自動車メーカーや政府機関で、燃焼効率を上げる研究や環境評価試験を行うための投資が増え、計測装置の需要も高くなっていったのです。

 また、中国政府の重要施策として、理工系の人材育成を目的とした大学向けのプロジェクトで、高精度の分析計が教育分野でも数多く納入されました。こうした工業生産や教育投資の拡大に伴って分析装置の需要も高まっていきました。

 ただ、その一方で中国では環境問題が深刻化していました。

【次ページ】PM2.5でかすんだ街、北京

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