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  • 2020/04/13 掲載

「小型建機」市場が大躍進、コマツや日立以上に期待の “建機のベンツ”とは?

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2010年代、建設機械で特に大きく伸びたジャンルが「小型・ミニ建機」だ。最大手の小松製作所(コマツ)や日立建機もこの分野を戦略的に強化しているが、輸出の躍進を引っ張った主役が、長野県の竹内製作所だった。2020年代も国土強靱(きょうじん)化、人手不足対応、電動化、新興国市場の立ち上がりなど、小型・ミニ建機の成長を後押しする要素は尽きない。小型・ミニ建機をめぐるこれまでの10年と今後の展望を解説する。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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これだけある、「小型・ミニ建機」が今後の10年も期待できる理由
(Photo/Getty Images)

日本は建設機械の一大生産国

 現代の建設工事には建設機械が投入され、自動化、省人化、ハイテク化(デジタル化、インテリジェント化)が大きく進んでいる。横一列に並んだ何千人もの労働者が笛を合図にシャベルで一斉に運河を掘る──毛沢東時代の中国の記録映画に見られた、こうした「人海戦術」は、すでに遠い過去の物語だ。

 日本は、建設機械の一大生産国である。金額ベースでは米国に次ぐ2位で、主要建機メーカー売上高の世界ランキングでは、1位の米国のキャタピラー(CAT)を2位の小松製作所(コマツ)、3位の日立建機の日本勢が追いかけ、4位はスウェーデンのボルボである(2018年)。さらに、クボタ、コベルコ建機、ヤンマー、住友建機などの日本勢が続く。メード・イン・ジャパンの建設機械は、国内だけでなく海外の建設現場や鉱山でもその品質の優位性を発揮し、一大輸出産業になっている。

 一般社団法人日本建設機械工業会の「建設機械出荷金額統計」によると、2019年1年間の出荷額は総額2兆6,328億円だったが、そのうち国内出荷額は1兆196億円(38.7%)、輸出額は1兆6,132億円(61.3%)で、輸出のほうが上回っている。

 国内向けと輸出を合わせた出荷総額は、2010年の1兆8,489億円から2019年にかけて42.4%伸びている。多少の凸凹はあったものの、おおむね右肩上がりで伸びてきた。

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日本の建設機械全体の出荷金額の推移

 2010年代は、東日本大震災の復旧・復興需要、東京オリンピック・パラリンピックの関連工事、都市再開発プロジェクトの林立、老朽化した社会インフラを再建する国土強靱化計画、タワーマンションや相続税対策のアパートの建設ブームなどがあり、国内の建設需要は大きく伸びた。

 輸出に関しては、経済成長が続いて建設需要が旺盛だった中国を軸に成長した。ただし、年による変動が大きく、過去10年の国内出荷の伸びが101.1%とほぼ2倍だったのに対し、輸出の伸びは20.2%にとどまっている。

「小型・ミニ建機」が躍進した2010年代

 建設機械のジャンル別にみると、2019年で最も出荷額が大きかったのは「油圧ショベル」の9,550億円で、それに次ぐのが3,163億円の「ミニショベル」だった。「建設用クレーン」の2,856億円、「トラクタ」の2,842億円がそれに続いている。

 しかし、さかのぼった2010年の統計では、「油圧ショベル」「トラクタ」「建設用クレーン」の順であり、「ミニショベル」は1,326億円で2019年の半分以下でしかなかった。

 日本建設機械工業会の統計では、機体質量6トン以上を「油圧ショベル」、6トン未満を「ミニショベル」と呼んで区別しているが、両者は土を掘るような基本機能はほぼ同じであり、兄弟のようなものだ。過去10年の成長率は、“兄”の油圧ショベルが29.6%に対し、“弟”のミニショベルは138.5%(約2.38倍)と進境著しい。特にその輸出額はきれいな右肩上がりを描き、2019年には2010年の2.5倍になっている。

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油圧ショベル、ミニショベルの出荷金額の推移

 10年で国内出荷額が405億円から854億円へ2.1倍に拡大し、国内以上に海外でもてはやされるミニショベルは、まさに日本製建設機械の「伸び盛りのホープ」といえる。ミニショベルに限らず、トラクタ、クレーン、ホイールローダー、ブルドーザーなど、サイズが小さい「ミニ建機」も近年、その出荷額を伸ばしている。2010年代はまさに「ミニ建機、躍進の10年」だったといえる。

【次ページ】コマツ、日立建機などの建設機械大手も「小型・ミニ建機」を重視

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