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  • 2022/01/07 掲載

クラウドAIとは? 仕組みを支える「学習済みAI」「学習できるAI」も解説

連載:図でわかる3分間AIキソ講座

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すでに人工知能(AI)は広く普及し、さまざまなサービスで応用されるようになっています。しかし、ITに詳しくない人間からしてみれば、AIというのは「なんだか難しそうな高度なもの」というイメージが強く、少なくとも自分で「作れる」とは思わないかもしれません。ところが、クラウドサービスとして提供される「クラウドAI」などを通じて、誰にでも扱える「学習済みAI」を、誰でも利用できるようになっており、知識が無くとも少しの工夫で自分だけのAIを作れるようになっています。クラウドAIとは何か、そこに組み込まれる学習済みAIについて解説します。

執筆:フリーライター 三津村直貴

執筆:フリーライター 三津村直貴

合同会社Noteip代表。ライター。米国の大学でコンピューターサイエンスを専攻し、卒業後は国内の一部上場企業でIT関連製品の企画・マーケティングなどに従事。退職後はライターとして書籍や記事の執筆、WEBコンテンツの制作に関わっている。人工知能の他に科学・IT・軍事・医療関連のトピックを扱っており、研究機関・大学における研究支援活動も行っている。著書『近未来のコア・テクノロジー(翔泳社)』『図解これだけは知っておきたいAIビジネス入門(成美堂)』、執筆協力『マンガでわかる人工知能(池田書店)』など。

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クラウドAIでは、AIやサーバ、データベース、ネットワーク、開発環境などを含めた1つのプラットホームとして提供される(後ほど詳しく解説します)


クラウドAIとエッジAIの違い

 クラウドAIとは、クラウド上で提供されるAIのことで、基本的にはAIに必要な学習モデルやデータベースをすべて備えた状態で提供されています。そのため、初心者がちょっと使ってみたいと思ったAIの機能をクラウド経由ですぐに使えるのはもちろんのこと、サービスとして提供されているものであれば、上級者が非常に高度で優れたAIを作るのにも役立ちます。

 こうしたクラウドAIのサービスでは多くの場合、AIだけでなくサーバやデータベース、ネットワーク、開発環境などを含めた1つのプラットホームとして提供されています。

 また、利用者が高度なAIを安価に利用できる代わりに、開発したAIやシステムをサービスとして提供する場合にのみ費用がかかるようなビジネスモデルとなっています。そのため、実用的なAIが作れるかどうかは分からないけれども、「触ってみたい」「使ってみたい」といった初心者のニーズにも応えられるのが魅力です。

 一方、クラウドAIと比べられることが多いのがエッジAIです。エッジAIはクラウド上ではなく端末側で運用されるAIのことで、オフラインでも使用が可能です。PCやスマホといった小型端末でも使えるほか、産業機械などのロボットや自動運転車、IoT機器でも使われます。

 クラウドAIはクラウド上で情報処理を行う都合、サーバーに大きな負荷がかかるほか、通信ネットワークを通して膨大な情報をやり取りするため、通信速度がボトルネックとなって処理が遅くなる欠点があります。これに対し、エッジAIでは端末側で情報を処理行うため、ネットワークやサーバーに過大な負荷がかかりません。

 その代わりに端末側にAIを動かせる程度の処理能力が求められるため、コストやエネルギー消費量の増大が課題となります。しかし、スマホのように最初から高い処理能力を持っている端末や産業機械のように大規模運用され、リアルタイム性が問われるような状況では、エッジAIを使うことで低負荷での高速処理が実現します。

 クラウドAIとエッジAIでは「どこに負荷がかかるか」という点で大きな違いがあり、強みと弱みが綺麗に分かれているため、用途に応じて使い分けられています。

 今回、紹介するクラウドAIを理解する上で大切なのが、「学習済みのAI」と「学習できるAI」という考え方です。技術的に大きな違いがあるわけでも、それぞれ明確に別のAIとして区別されているわけでもありませんが、AIの開発や用途に大きな影響を与える概念なのでざっくりとでも理解しておくことが大切です。

学習済みAIとは

 学習済みAIは「すぐにでも提供できる完成されたAI」のことです。顔認識では、すでに「人の顔」や「物の形」などを学習した状態なので、簡単なプログラムを行う(それすら不要のこともある)だけでカメラに写ったものを判別することができるようになります。

 たとえば、カメラアプリとクラウドAIを連携させ、カメラで撮影したものをテキスト化させたり、類似の画像を表示させたり、検索結果をその場に出したりできるAIなどがそれに当たります。ほかにも、自然言語について学習したコミュニケーション用のAIを使ってオリジナルのチャットボットを作ることができますし、音声を学習させたAIであればコールセンターに導入することができます。

 学習済みと言っても何も教えられないわけではなく、自分の顔や家族の声、返答パターンなどを設定することが可能です。しかし、「顔認識の学習モデル」や「自然言語の学習モデル」について手を加えることはできません。

 そのため、顔認識の精度や言葉を使ったコミュニケーション能力に関しては、エンジニアであっても調整することが難しいのです。逆に言えば、使い方を間違って、精度が落ちたり、致命的なバグが発生したり、ということも無く安定しています。

【次ページ】学習できるAIとは

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