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  • 2022/08/03 掲載

王者ユニクロ「どうしても参入できない」、アパレル業界の“問題だらけ”の未開拓市場

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近年、私たちは衣料業界の創意工夫により、季節ごとのオシャレをお手頃な価格で楽しむことができるようになった。その代表格であるユニクロ(ファーストリテイリング)は、ブランドビジョンとして“MADE FOR ALL”を掲げており、「あらゆる人から必要とされる服を創り、世界中に届けていく」ことを目指している。しかし、大企業ユニクロでも対応できない「顧客ニーズ」がある。それが、身体障がい者向けのアパレルだ。身体障がい者の生の声をヒアリングしていくと、そこには王者ユニクロですら対応できない、アパレル業界のミッシングピースの存在が浮かび上がってくる。今回は、身体障がい者向けアパレルビジネスの業界動向と、業界課題を解決する企業の事例を解説する。

執筆:経営コンサルタント 清水大地

執筆:経営コンサルタント 清水大地

MIRARGO Director
野村総合研究所、アクセンチュアなど、14年以上に及ぶコンサルティングと実行・執行支援の経験を基に、現在はスタートアップの経営支援を中心に、日本社会の更なる飛躍を目指している。共著に「時間消費で勝つ」(日本経済新聞社)、「経営コンサルタントが読み解く 流通業の「決算書」」(商業界)など

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王者ユニクロでも対応できない顧客ニーズとは?
(写真:Abaca/アフロ)


アパレル大手が対応できない「顧客ニーズ」

 一般に、アパレル業界が“お手頃な価格”で衣類の提供を実現できる理由は「規模化」にある。ターゲットとなる顧客ニーズの最大公約数を見出し、ある一定の規模を前提とした企画、ボリューム調達、大量ロットによる生産・供給の効率化など、規模を効かせることで1枚当たりのコストを下げているのだ。

 しかし、その入り口とも言える「顧客ニーズの最大公約数」が見出せない場合、この成功方程式は成り立ちえない。そのため、細かすぎるニーズへの対応はどうしてもおざなりになってしまうのが、企業のホンネと言える。

 こうした点を踏まえると、大企業が対応しにくい顧客層が見えてくる。それが身体障がい者だ。現在、国内には障がい者に該当する方が約930万人おり人口の約7%を占めている。そのうち、身体障がい者は約430万人に及ぶ(図表1)。

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図表1:国内の障がい者数の推移
(出典:内閣府「障害者白書」より作成)

 さらに身体障がい者福祉法では、身体障がいを、「視覚障がい」、「聴覚・平衡機能障がい」、「音声・言語・そしゃく機能障がい」、「肢体不自由」、「内臓機能などの疾患による内部障がい」の5種類に分類し、それぞれの障がい種類ごとに身体障がいの程度を7等級に区分している。

 このような分類がなされていてもなお、これら身体障がいには個人差が大きい。たとえば、同じ種別の障がいであっても、障がいの程度に幅があり、それゆえに生活の不自由さなどに違いが大きいのだ。同じ車いすでも、障がいによる可動域が異なれば、服を着るときに必要となる開き具合も異なり、服に求められる機能は細分化されることになる。

 そのため、身体障がい者が服に求めるニーズは、「個人の好み」に加えて、「障がいの細かな個人差」が掛け合わされ、これが服に対するニーズの複雑さを生み出している(図表2)。

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図表2:障がい者向けのアパレルの市場規模
(出典:筆者作成)

身体障がい者は服選びで満足できていない?「3つの問題点」

 こうした中、世の中のSDGsの流れもあり、アパレル各社は身体障がい者向けのアイテムを展開している(図表3)。

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図表3:各社が展開する障がい者向けアパレルブランド
(出典:各種資料より筆者作成)

 しかし、前述のアパレルのビジネスモデルを前提とすれば、アイテム数が健常者向けと比べて極端に少なかったり価格が高かったりする現実は、致し方ないのかもしれない。 つまり、身身体障がい者にとって、服選びにおける「不」は下記の3つのポイントに集約される。

■身体障がい者の服選びにおける問題点
  1. 好きなものを選べない(商品の限定性)
  2. 高い
  3. 着心地のフィット感に欠ける

 そのため、大半の身体障がい者はオシャレをあきらめているのが実態なのだ。こうした解決の難しい課題に対し、アパレル業界はどのような対応をしているのだろうか。

【次ページ】「オンリーワンの衣服」を「低価格」で提供できるモデルとは

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