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- 2023/06/28 掲載
なぜ「辞めてほしくない人」ほど辞めるのか、エース社員が退職を決断する環境「3選」
連載:リーダー必携マネジメント術
離職の引き金その1:評価制度
エース社員が離職を決断する瞬間は数あれど、その最たるものは自分に下された評価に納得がいかないときでしょう。エース社員はプロ意識が高く、結果にこだわります。当然、それによって昇給や昇進を手にしたいはずですが、結果を残しているのに満足のいく対価を得られなければ、自分を認めてくれる会社に移りたいと思うのは当然です。つまり、評価制度がない、あっても曖昧な会社ではエース社員が離職しやすいと言えます。曖昧な評価制度とは、評価項目が「積極性を持って仕事に取り組んだか」や「コミュニケーション能力を発揮したか」のような定性的な内容になっているものなどです。
このような制度の下では、評価者と被評価者の間で評価に対する認識が一致することはありません。上司のさじ加減で評価はどうとでもできてしまうため、成績が良くないのに評価者に媚(こび)を売る社員が昇給・出世していきます。仕事に集中したい社員なら、こうしたアピール合戦に加わりたいとは思わないでしょう。
理想の評価制度は、「何をしたら、どのような評価を得て、それがどう給料に反映されるのか」が事前に分かっている状態です。社員が中長期的な成長のイメージを抱けるようになります。
離職の引き金その2:コミュニケーション
社長が部長を無視して課長や係長に指示を出したり、部長が課長や係長だけではなく現場のメンバーにまでアドバイスをしたりするようなコミュニケーションを我々は「一個飛ばし」と呼んでいます。一個飛ばしによって無視されることになった社員は、自分の存在意義を見いだせなくなるため離職を考えるようになります。エース社員のAさん、Aさんの上司であるBさん、部下のCさんという三階層の組織を例に考えてみましょう。BさんとCさんの2人が業務上のやり取りを交わすようになると、Cさんは直属の上司であるAさんの指示に従わなくなります。
Bさんという同じ上司の下にいる自分たちは同位だと錯覚し、「なぜ、私がそんなことをしなければいけないのですか。自分でやってください」と思うわけです。CさんがAさんに対する不満をBさんにぶつけ、Bさんが上司風を吹かし、「Cさんも頑張っているんだから、ちゃんと指導してあげなよ」とAさんに横やりを入れようものなら、事態はさらに悪化します。
板挟みになったAさんの心中たるや察するに余りあるでしょう。「どうすれば部下が指示に従うようになるか」などと悩む時間は、極めてムダです。
Cさんからしても、上司が2人いる状態ですからどちらの指示に従えば良いか迷ってしまいかねません。上司は必ず1人でなければならないのです。 【次ページ】離職の引き金その3:○○が下手な上司
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