- 2025/09/20 掲載
経営陣が「覚悟」を示せ!サイバーエージェントに学ぶ、リスキリング成功の秘訣
SkyHive Technologies 日本代表。早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ 銀行)入行。営業、マーケティング、教育研修事業を担当。2020年、10年かけて自らを「リスキリング」した経験を基に、リクルートワークス研究所にて「リスキリング~デジタル時代の人材戦略~」「リスキリングする組織」を共同執筆。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を可能にするリスキリングプラットフォーム、SkyHive Technologiesの日本代表に就任。石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所 客員研究員を歴任。政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。
前編はこちら(この記事は後編です)
リスキリングとは単に「学ばせる」ことではない
2023年9月、ハーバードビジネスレビューに寄稿された「AI時代のリスキリング」において、リスキリングはチェンジマネジメントを実現するためのイニシアチブである、と述べられています。その理由として、リスキリングの実践には、組織全体のマインドセットと行動変容が求められること、複数のタスクを同時に推進する複雑性があること、中間管理職の抵抗など、組織的障壁の克服が必要であること、業務中に学習する仕組みの整備が必要となるため、既存の業務プロセスの変革が必要となること、リスキリング後の職務設計や配置転換を伴うため組織文化を変えていく必要があることなどが挙げられています。リスキリングとは単に「学ばせる」ことではなく、企業文化、人事制度、管理職の意識、学習の仕組み、キャリア設計をすべて同時に変えていく「全社的な企業変革」の取り組みなのです。
悩める企業のお手本になるサイバーエージェント事例
1998年の創業時のインターネット広告業から幾度となくチェンジマネジメントを重ね、新たなビジネスモデルを構築し続けて来たサイバーエージェントが全社におけるリスキリングへの取り組みを公開しています。「生成AI徹底理解リスキリング for Everyone」の取り組みは、リスキリングを全社単位でどのように進めていくかにお悩みの企業にとてもお手本となる事例です。1.経営陣全員がお手本となり率先してリスキリングに参加したこと
サイバーエージェントの「生成AI徹底理解リスキリング」プロジェクトの最大の特徴は「全社員必修」を掲げ、経営陣も自ら積極的に生成AIの理解に取り組み、テストに合格し、社員に対して強いメッセージを発信した点です。これにより、「経営層も本気で生成AIの活用を推進している」という強い信頼感と説得力が生まれ、社員も「やらなくては」と学習意欲を大きく刺激されたのだと思います。また、経営陣の参加は、単なるトップダウンの命令ではなく、組織全体の共通のチャレンジであるという意識を醸成する効果もあります。このトップの本気度が、全社リスキリングを成功に導く大きな原動力となっているのです。
多くの企業の経営者が「リスキリングをしろ」と従業員にだけ指示を出していて、「笛付けど踊らず」の状態になっている中、経営陣が覚悟と結果を示し、自らリスキリングに取り組むことで、「自分もやらなくては」という気持ちに従業員もリスキリングが自分ごとになっていくのです。
【次ページ】サイバーエージェントの社員・役員99.6%がWebテストに合格
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