- 2025/09/20 掲載
経営陣が「覚悟」を示せ!サイバーエージェントに学ぶ、リスキリング成功の秘訣(2/3)
サイバーエージェントの社員・役員99.6%がWebテストに合格
2.全社員の99.6%が参加するキャンペーン化による短期集中実施このリスキリングプログラムは、サイバーエージェントの約99.6%の社員および役員が講義動画の視聴完了・Webテストに合格しています。全社を巻き込むため、短期間に集中して取り組むキャンペーン形式を採用しています。キャンペーン化することで、学習の「波」を組織全体に起こし、遅れを取る者がほとんどいない状況を作り出しました。
短期間での全員参加は、生成AIの基礎知識を共有するだけでなく、社内のAIに対する価値観を形成し、今後のAI活用を全社横断で進める土台となっているものと思います。こうしたスピード感ある取り組みは、技術の進化スピードが速いAI領域で特に有効ではないかと思います。
結果的に、生成AIを活用してどのような事業を作っていくのかといった視点を早いタイミングで経営層と従業員が同じタイミングで持つことができるため、他社に先駆けて新たな事業を展開する礎になっています。
3.社内広報の工夫とやる気創出のための仕組みづくり
サイバーエージェントでは、単に研修を実施するだけでなく、社内広報にも徹底して工夫を凝らしました。
各拠点へ「全社員『生成AI』必修」というポスターの張り出し、オフィス内のデジタルサイネージでの掲示、全社員参加のSlackチャネルでの周知、全社員へメールでの告知などを展開しています。
第一回の講義動画の公開から最初の2週間程度は、参加者が10%程度だったところから、さまざまな施策を展開していきます。講義を受講するコアタイムを各部署で設置してもらうための呼びかけや、役員による受講推進動画の配信、役員会にて各役員管轄ごとの受講状況の推移を報告するなどの取り組みを行いました。
社内広報の巧みな設計は、リスキリングを全社に定着させる上で不可欠な要素となっていると思います。
4.子会社「AI Shift」で生成AIリスキリングノウハウを事業化
サイバーエージェントは、自社で得た生成AIリスキリングの知見とノウハウを外部に展開するため、専門の子会社「AI Shift」でリスキリング支援サービスを立ち上げました。AI Shiftは、生成AIの活用やリスキリングを業種・職種別にカスタマイズした支援サービスを提供し、他企業のDXや人材育成をサポートしています。
2019年8月に設立されたAI Shift社は、チャットボット・ボイスボットなどのカスタマーサポート事業を展開していました。そして2021年にサイバーエージェント社は自社内に、「リスキリングセンター」を設立し、エンジニアの育成を目的とした講座を社内外に展開していきます。その後、2023年2月には、CAリスキリングパートナーズという自社の事業開発ノウハウをもとにした企業のDX支援、デジタル人材育成支援のサービスを始めます。
そして、2023年11月に前述の「生成AI徹底理解リスキリング」を展開した後、前述のAI Shift社と、CAリスキリングパートナーズ社を統合し、自社のリスキリングへの取り組みノウハウをパッケージ販売し、事業支援機能を強化していきます。
AIを活用したビジネスモデル構築に悩む企業に対し、新たな価値創造を生み出す新事業をリスキリングを通じて展開している点は、従業員視点で見ても、リスキリングをした結果が新しい事業につながるということが分かるので、結果的にリスキリングが自分ごとになり、組織の文化として定着していくのです。こうした子会社の設立は、社内リスキリングの成果を外部に波及させる好例としてとても注目すべきリスキリング成功事例ではないかと思います。ぜひ、皆さんの組織においても取り入れていただけましたら幸いです。 【次ページ】チェンジマネジメント&リスキリング成功企業の共通点3つ
人材管理・育成・HRMのおすすめコンテンツ
人材管理・育成・HRMの関連コンテンツ
PR
PR
PR