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  • 2026/01/13 掲載

育った環境も違いすぎる…ヒットメーカー広井王子の「教養が別次元」と言える理由

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『サクラ大戦』『魔神英雄伝ワタル』『天外魔境』──数々のヒットコンテンツを生み出してきたマルチクリエイターの広井王子氏。その仕事の背景には、一般的な「クリエイター像」からは大きく外れた、特異な生まれ育ちと人生観があった。今回、これまであまり語られてこなかった広井王子氏のルーツから、仕事観、キャリアの始まりまでを詳しく聞いた(取材協力:Puri Prince Inc.中山雅弘)。
聞き手・執筆:エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山 淳雄

エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山 淳雄

東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。

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広井王子(ひろい・おうじ)氏
マルチクリエイター
1954年東京都墨田区向島生まれ。日本の漫画、アニメ、ゲーム、実写ドラマなどの原作を手掛けるマルチクリエイターであり、舞台演出家。独自の手法でオリジナル・キャラクターを作り上げる。ロッテオマケ企画からスタートし、新しい企画集団レッドカンパニーを創設。「ネクロスの要塞」「魔神英雄伝ワタル」「天外魔境」「サクラ大戦」などで知られており、2025年には市川團十郎出演 JAPAN THEATER『SEIMEI』の演出を担当。幅広いフィールドで活躍することから、日本のエンターテインメント業界に多大な影響を与えている。

あまり知られていない広井王子の“生まれ育ち”

──広井さんのルーツからお聞きしていきたいと思います。広井さんは、墨田区・向島生まれ、途中で南千住に引っ越しをされています。生まれ育った家は、どのような家庭環境だったのでしょうか?

広井王子氏:これはメディアではあまり話をしたことがないのですが、先日母親も亡くなってね。そろそろ解禁してもいいのかもしれない。実は私の家庭は、NHKの大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に登場する「忘八」みたいな感じだったんですよ。

──え、忘八ですか?

広井王子氏:いわゆる遊女屋です。戦後、東向島にあった赤線地帯でシマを仕切っていた7人の組合頭の1人が父親でした。当時の言葉で言えば、穢多・非人(えたひにん)と呼ばれる部類になるかもしれません。小さい頃はよく親から「大通りを歩くんじゃない!」って言われていましたからね。とても表立って人に言えるような仕事じゃなかったわけです。

──広井さんについて調べていくと、松竹歌劇団(1928~1996年)の戦後一期生にあたる水品美加さんが叔母さんにいらっしゃっいます。また、祖母に新国劇(大衆演劇団)に連れられ、母とは劇団新派、姉とは歌舞伎を観賞に…といったように、幼少時代から高貴な観劇体験をされていたようですね。とにかく裕福なご家庭で、芸能一家と言えるような環境で育たれたのかと想像していました。

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広井王子氏:同じようなものですよ。歌劇も歌舞伎も。当時の芸能って、そういう世界だったんです。自宅には女の子が何人もいましたしね。1階はミラーボールが回るダンスフロアになっていて、そこではジャズが流れていてダンスが踊れるような作りになっていました。盛況だったらしいですね。当時は、その凄さを分かってなかったですけどね。

 だから普通の人が経験するような子供時代とは全然違った経験をしてきたわけです。5歳までは近所の祖母の家に預けられ、自宅はご飯を食べにだけ行くところ。好きなものはいつでも買ってもらえて、街でも有名だから「坊ちゃん、坊ちゃん」とちやほやされてね。寿司屋でもどこでも、食べたいときは1人で行って、代金はすべてツケでした。手に入らないものは何もなかったんです。

 その後、昭和31年(1956年)に売春防止法で赤線が潰れて、そこから南千住に引っ越すことになりました。そこで木賃宿(きちんやど)を開いて、ベッドハウスを1泊80円で貸し出す簡易宿泊業に転換しました。遊びに行くのは浅草、たまには銀座。銀座は子供でもネクタイを締めていくような場所でした。

──まるで本に出てくる世界ですね…。そんな幼少時代には、具体的にどのようなエンタメに触れられていたのでしょうか?

広井王子氏:芝居ですね。叔母が事務をやっていた関係で浅草国際劇場は顔パス、チッタ姉ちゃん(水品美加さん)もいたから楽屋ではちやほやされるし、おしろいの匂いが好きで、踊り子さんたちに抱っこされながら育ちました。あらゆるものがキラキラしていた華やかな夢のような世界、当時のことは本当によく覚えています。

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