• 2026/07/18 07:10 掲載

【AIで進化】元楽天・堀内公博氏が示す、競争力に差がつくABテストの新常識(2/2)

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AIが、膨大な組み合わせの中から勝ち筋を絞り込む

 ただし、ABテストのほうが効率的といっても、膨大な可能性から正解を見つけるのに膨大な時間がかかることに変わりはありません。現実的には人間の能力だけで、マルチターゲティングを実現することはほぼ不可能です。そこで登場するのがAIです。マルチターゲティングによるマーケティングは、デジタルとAIの組み合わせで初めて実現します。

 デジタルマーケティングにAIが導入されたのは2000年代からです。その代表的な活用方法が、このABテストの3要素の組み合わせの最適解を発見するサポートです。マルチターゲティングにおける、3要素の組み合わせの可能性は、天文学的数値になります。日本なら、単純に「誰に」の可能性だけでも1.2億通りあります。しかし、各組み合わせパターンの正解確率は均等ではありません。

 たとえば、検索広告で、ワイン関連のキーワードの検索をしている人は、ワインを買う可能性が高いと判断できます。現在のデジタル広告のAIは、ワインの検索履歴のような広告媒体が保有するユーザーの行動データなどを分析し、広告目的に適した3要素の組み合わせ候補を自動で抽出してくれます。そして、AI技術の発展と、データ蓄積量の増大により、その精度は急速に高まっています。AIが膨大なパターンの中から、人間が判断可能なレベルまで可能性を絞り込んでくれるのです。

 AIのサポートの精度は、この数年飛躍的に向上しています。適切な仮説を設定し、正しいテスト環境をつくることで、その精度はさらに向上します。AIの飛躍的な発展により、ABテストによるマルチターゲティングのマーケティング実践の精度も飛躍的に向上しています。

ABテストの蓄積量が、マーケティング組織の競争力になる

 ここまで、ABテストについて説明してきました。ABテストを中心に据えたマーケティングが可能になったのは、デジタル化の恩恵です。パラメーターのコントロール、小規模な実験と精緻な効果検証、正確なターゲティング。これらの要素がそろって初めて厳密なABテストを低コストで繰り返すことができます。

 マーケティング組織の中長期的な競争力は、厳密なABテストの蓄積量の差です。ABテストを正しく実施すれば、PDCAと顧客理解の精度が高まるからです。その重要性は、マルチターゲティングにより、さらに増すばかりです。

 私は、どのような立場になっても、現場社員のオペレーションのミクロデータを週次で確認し続けています。その理由は、チームを管理することが目的ではありません。チームが行うABテストの意図と、結果を議論しながら、メンバーと市場理解を深めるためです。マーケターにとって、市場理解は成果を出すための生命線です。ABテストを現場の作業だと思っているマーケティングのマネジャーの方は、ぜひ一度現場との向き合い方を考えてもらえればと思います。

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