• 2026/08/26 06:40 掲載

なぜ日本は成長できない? 開業も廃業もG7最下位…“企業が消えない国”の致命的弱点(3/3)

篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第194回)

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まさかのG7最下位…企業が入れ替わらない日本に必要な仕組み

 残念ながら、日本は開業率・廃業率とも7カ国中最下位にとどまっており、企業の新陳代謝が活発とは言えない。しかも、日本は「不確実性の回避度」が世界の中でかなり高いことも考慮しなければならない。

 Hofstede, et al.(2010)によると、日本は「不確実性の回避指数」が世界76カ国・地域の中で上位9番目に高く、先進7カ国では最も回避的だ(図表2)。どうやら、新領域へのチャレンジに慎重な姿勢をとる傾向が強いようだ。

画像
図表2:主要先進7カ国の「不確実性回避指標」
(出所:Hofstede, et al.(2010)のデータをもとに先進7カ国を抽出して筆者作成)

 日本社会のこの特質を考慮すれば、アギオン他(2022)が指摘するように、旧領域から新領域へ新陳代謝を促す際は、「破壊の負の側面を緩和する制度」(=セーフティネット)の整備が不可欠だと考えられる。

 退出促進とセーフティネット整備の両輪がうまくかみ合えば、AIの社会実装で課題を解決し、経済成長を実現していく道も切り拓かれよう。ダイナミックで躍動感ある社会を目指してこの両輪をどう駆動させるか、日本社会の真価が問われている。


〔参考文献一覧〕
1) Hofstede, G., Hofstede G. J., & Minkov, M.(2010)Cultures and Organizations: Software of the Mind, 3rd ed., McGraw-Hill Companies, Inc.(ヘールト・ホフステード、ヘルト・ヤン・ホフステード、 マイケル・ミンコフ『多文化世界 原書第3版:違いを学び未来への道を探る』岩井八郎・岩井紀子訳 有斐閣2013年)
2) Schumpeter, Joseph A(1926)Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung, 2. Aufl(邦訳『経済発展の理論』(上・下)塩野谷祐一・中山伊知郎・東畑精一訳, 岩波文庫, 1997年)
3) アギヨン, P., アントニン, C., ブネル, S.,(2022)『創造的破壊の力:資本主義を改革する22世紀の国富論』(村井章子訳)東洋経済新報社.
4) 小玉哲也・鷲尾哲・篠﨑彰彦(2026)「企業の参入・退出と産業構造の変化がマクロ経済に及ぼす影響:主要先進7カ国を対象としたベイジアンネットワークによる因果構造分析」情報通信総合研究所, InfoCom Economic Study Discussion Paper Series, 2026年3月, pp. 1-19.

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