前回お話したとおり、日本版ロードマップの公表により一定の要件を満たした場合にはIFRSの任意適用が認められるようになりました。IFRSの強制適用の時期は当初2015年ではとされていましたが、実は2011年6月21日に金融庁の方から“IFRS適用に関する検討について”というIFRSに関する重大な発表がありました。これは
前回お話した会社の分類の中の【1】の上場会社でありかつ連結財務諸表を作成する会社にIFRSを強制適用する時期を2015年から延期する、というものです。
以前よりIFRSを制定する機関であるIASBとUS-GAAPを制定する機関であるFASBとの間の調整に時間がかかっていることなどにより2015年を日本におけるIFRSの強制適用の導入時期とすることは疑問視されていましたが、アメリカがあくまでIFRSを部分的に取り入れたUS-GAAPの適用継続を検討する等アメリカにおけるIFRS適用の動きが鈍っており、さらに3月の東日本大震災により産業界からの要望書が提出されたこと等を理由に日本は2015年にIFRSを強制適用することを見送りました。ただしIFRSの任意適用が認められている事は変わらず、住友商事が2011年3月期の有価証券報告書を、日本板硝子工業が2011年6月期の四半期報告書をIFRS基準で開示することを公表しています。今までは強制適用するかどうかも不確かでしたが、金融庁がIFRSの強制適用時期を延期すると表明したということは、逆にいつかIFRSを強制適用することになるともとれます。
では具体的なIFRSの影響をみていきましょう。
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大きく影響を与える項目とは?