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  • 2013/06/24 掲載

クラウドファーストは日本に定着するか!?パブリック・クラウド先行企業が語る本音

東急ハンズ、ケンコーコム、アンデルセン

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システムを開発・更新する際にクラウド利用を第一に検討する「クラウドファースト」を指向するユーザー企業が、日本国内でも広がっている。だが、もともと米国生まれのITのデリバリーモデルであるクラウドを日本のユーザー企業が使いこなし、期待どおりのベネフィットを上げていくにためはさまざまな困難も予想される。クラウドファーストを先行して実践してきた東急ハンズ、ケンコーコム、アンデルセンサービスの担当者が、その取り組みの“実際”を語った。

フリージャーナリスト 小山 健治

フリージャーナリスト 小山 健治

1961年生まれ。システムエンジニア、編集プロダクションでのディレクターを経て、1994年よりフリーランスのジャーナリスト、コピーライター。企業情報システム、BI、ビッグデータ、IT関連マーケティング、ストレージなどの分野を中心に活動中。著書に、「図解 情報・コンピュータ業界」(東洋経済新報社)、「One to One:インターネット時代の超マーケティング」(IDL)、「CRMからCREへ」(日本能率協会マジメントセンター)などがある。

クラウドファーストで先行する3社のキーマンが集結

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アンデルセンサービス
執行役員
システムサポート部 部長
堀尾 紀昭 氏
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ケンコーコム
取締役
IT本部長
新井 達矢 氏
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東急ハンズ
ITコマース部長 執行役員
ハンズラボ
代表取締役社長
長谷川 秀樹 氏
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モデレータ
日経BP
日経コンピュータ編集
中田 敦 氏
 「クラウドファースト」は、2010年に米国連邦政府が2010年に打ち出した、IT調達と利用に関する新たな基本戦略から注目されるようになったコンセプトだ。「パブリック・クラウドを最初の選択肢とし、2015年までに政府のデータセンターを40%削減する」という狙いに沿うもので、世界中の多くの企業がこの考え方に追随している。そして、日本企業の間でもクラウドファーストへの流れが加速しつつある。

 だが、これは本当に「正しい道」と言えるのだろうか―。AWS Summit Tokyo 2013において、国内でいち早くクラウドファーストを実践してきたアンデルセンサービス、ケンコーコム、東急ハンズの3社のキーマンが集い、その“実際”に踏み込んだパネルディスカッション(モデレータ:日経BP 日経コンピュータ編集 中田敦氏)が行われた。

 全国にベーカリーチェーンを展開するアンデルセンの堀尾紀昭氏は、「これまで業務システムの運用基盤を自社メインフレームからハウジング、ホスティングへと移行させており、その延長線上でAWS(Amazon Web Service)を利用し始めました」と言う。

 日本最大級の健康関連商品の通販サイトを運営するケンコーコムの新井達也氏は、「健康食品、サプリメント、化粧品、日用品など、20万点に及ぶ商品アイテムの膨大な情報量とその増加が私たちの悩みでした。これに対応する意味でクラウドファーストは妥当な考え方であり、SAP ERPや販売管理システムをはじめ、多くのミションクリティカルなシステムをAWS上で稼働させています」と語った。


 そして、市街地立地型ホームセンターの草分け的存在として知られ、近年は通販サイトにも力を入れ始めた東急ハンズの長谷川秀樹氏は、「2012年10月頃からAWSを使い始め、以降サーバの購入は凍結しました。老朽化したシステムの移行や新規構築するシステムについては、AWSを第一候補に検討を行っています」とした。


 パブリック・クラウドを優先的に活用することで、具体的にどんなメリットを得られたのか。また、想定と違ったことはなかったのか―。論点を深めながらディスカッションは進んでいった。

クラウドを使うメリットは?想定外だったポイントは?

 パブリック・クラウドならではの“垣根の低さ”を評価するのは新井氏である。

「新しい開発ツールや言語を使ってみたいと思えば、気軽にサーバを調達して試すことができます。かなり勇気は必要でしたが、ミッションクリティカルなシステムについても簡単に移行することができ、非常に大きな驚きでした。」(新井氏)

 なお、ケンコーコムでは、最初のうちこそ余裕を持たせたインスタンスを立ち上げていたのだが、約1年間にわたる本番運用を通じて安定稼働を確認。現在では、インスタンス数を半分くらいに縮小した最適サイズの運用を実現しているという。「こうしたリソース拡縮の柔軟性も、オンプレミスでは得られないメリットです」と新井氏は語る。

【次ページ】「技術のキャッチアップが追いつかない」という問題

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