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- 2014/03/27 掲載
佐賀県知事 古川 康氏に聞く、県立高校タブレット導入など新しいアイデアを生む原動力
連載:地方行政の今を知る vol.2(前編)
中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。
公式サイト http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/
自治省で培った”同業他社”での経験
──知事になったきっかけをお聞かせください。古川 康佐賀県知事(以下、古川知事)■「生まれ育った佐賀に帰ってきたい」という思いが強かったのが大きいです。子供の時に教育費でお世話になって、働き盛りは東京にいて、老人になって戻ってまた福祉でお世話になる──という形だと申し訳ない。だからきちんと働いて地元に恩返しがしたい、という強い思いがありました。

私は自治省から沖縄県や長野県、岡山県、長崎県へ出向し、他県から佐賀県がどう映るのかをずっと見てきました。企業で言えば、同業他社での経験を生かしてできることがあるのでは、と考えたのです。
また、そうした立場に身を置いて佐賀県を見ていたとき、佐賀県は「もっとできることがある、アピールできることがある」という気持ちを持っていました。
全国に先駆けて新しい取り組みを次々と行う
──実際に知事になられて、佐賀はどう変わりましたでしょうか?古川知事■典型的なのは、先進県視察で佐賀県庁に来られる方が、かつての10倍ぐらいになったことです。佐賀で見たいものや聞きたいことがある、という理由で視察に来られる方が増えています。なぜかというと、実は、佐賀県が最初に始めてから全国に広がった、という制度が結構あるのです。
たとえば、障害のある方に専用駐車場の利用許可証を発行する「パーキングパミット」は、全国で佐賀県が初めて実施しました。今では31府県3市で導入されています。そのほかにも、中小企業が開発した製品などを県が発注をして実績を作るという「トライアル発注」や、最近ではiPadを活用して救急車が病院に搬送する時間を大幅に短縮する「救急医療情報システム」などもそうです。これらは佐賀県が他県に先駆けて作ったものです。
また、企業やブランド、メディアが枠組みを越えてコラボレーションしていく「ファクトリーサガ」については各業界の方々から「すごいですね」と言っていただいています。
──県立高校の新入生全員に、1人1台のタブレットを導入することも非常に話題となりましたね。
古川知事■そういう意味では、新しい取り組みをしていく、エッジの効いた制度を導入する県であると注目をしていただいているようです。でも、これでいいという到達点はありません。まだまだ挑戦していくつもりです。
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