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  • 2014/12/10 掲載

西武ライオンズ、観客数過去最高・黒字転換への道のり 営業を支えたクラウド活用とは

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プロ野球のパシフィック・リーグでリーグ優勝21回、日本一13回を誇る西武ライオンズ。いずれもパ・リーグでは最多の記録だが、プロ野球全体の観客動員数がほぼ右肩上がりで増加し続ける中、一時は観客動員数が過去最低の数字にまで落ち込み、球団も経営赤字に苦しんでいた。そこでライオンズは試合の勝ち負けに左右されないプロ野球事業の確立を目指し、球団改革に乗り出すことになる。しかし、営業を行うような会社ではなかったので顧客管理もExcelで行っており、限界に来ていたと西武ライオンズ 経営企画部長の光岡宏明氏は振り返る。

球界再編の大きな引き金になった連結決算の導入

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西武ドームに押し寄せる西武ライオンズのファン
(Photo by fogindex

 西武ライオンズは西武鉄道やプリンスホテルなどを展開する西武グループの一員で、その前身は1950年に福岡で誕生した西鉄クリッパーズだ。翌年には西日本パイレーツを吸収合併して西鉄ライオンズとなり、その後1972年の太平洋クラブライオンズ、1976年のクラウンライターライオンズを経て1978年に西武ライオンズとなり、2008年には球団名称を“埼玉西武ライオンズ”とした。

 ここ数年は好調なプロ野球界だが、2005年には大きな落ち込みを経験した。前年2004年に球界再編が起こり、大阪近鉄バファローズがオリックス・ブルーウェーブに吸収されて消滅し、オリックス・バファローズとなった(いずれも当時)。また東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生したのも2005年だ。

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 球界再編の大きな要因となったのが、2000年の連結決算の導入だ。企業の決算が連結中心に変更になった。これによって球団の親会社は、それまで自社単独の決算開示でよかったものが、子会社のプロ野球事業が大きな赤字を抱えていると、それも含めてグループ全体の決算を開示しなければならなくなった。「cybozu.com conference 2014」で登壇した西武ライオンズ 経営企画部長の光岡宏明氏は「そこから、ずっと続いていたプロ野球業界の赤字体質がもう許されなくなった」と説明する。

 さらにその中でライオンズは、球団改革をしなければプロ野球事業が継続できない、という状況にまで追い込まれた。

 その理由は大きく3つある。まず西武グループが事業再編を行っていく中で、やはりこれ以上、赤字の球団を維持し切れなくなったこと、次に2007年に過去最低の観客動員数になってしまったこと、そして球界再編以降、パ・リーグの他球団が改革を進めており、このままではライオンズだけが取り残されてしまうこと。

 そこで2008年から、プロ野球事業をライオンズに集約して、事業改革を進めた。

 2008年以前、プロ野球事業でライオンズが携わっていたのはチームの運営だけで、それ以外の興行面やスタジアム運営などは親会社の西武鉄道が行っていた。しかしこの時には、誰がどこまでの責任を負うのかが曖昧だったり、また意思決定の場面でも時間がかかっていた。

 光岡氏は「今後黒字化を目指すためには、責任の所在を明らかにし、事業のスピードアップも図っていかなければならない。そのためにプロ野球事業を全てライオンズに集約した」と語る。

 そしてライオンズが目指したのが、“勝敗に左右されない事業環境作り”だ。

「優勝するチームの勝率は6割前後。裏を返せば、ファンの方が10回観戦に来ても、4回は負け試合を観てしまうということだ。来場時の満足度が試合の勝ち負けだけにリンクしてしまうと、リピーターとして来ていただけるお客さまを確保することは非常に難しい。そこでチームはあくまで勝利を目指すが、我々事業側は勝敗に左右されない環境作りを目指すという方針を立てて、事業に取り組んだ」(光岡氏)

【次ページ】顧客管理もExcelで行っており限界に来ていた

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