軍事超大国である米国の企業が、上位を独占しているのが見て取れよう。防衛産業の世界第1位は米国のロッキード・マーティンである。田中角栄元首相が関与した汚職事件「ロッキード事件」で有名なロッキードとマーティン・マリエッタが、1995年に合併して誕生した宇宙航空機器メーカーだ。
田中角栄時代には民間航空機事業も手がけていたが、今は完全に撤退し、戦闘機やミサイル、ロケット、人工衛星などが売上のほとんどを占める。自衛隊も導入するステルス戦闘機(レーダーなどに探知されにくい戦闘機)「F35」の共同開発では、主導的な立場にある。
また、2014年10月には、小型の核融合炉(CFR:compact fusion reactor)に関する技術を開発したと発表しており、10年以内には実用化するという。
さらに、2014年3月にはIndustrial Defenderを買収し、サイバーセキュリティの分野でも影響力を拡大している。2012年には、AMD、インテル、RSA(EMC)などとともに「CSRA(Cyber Security Research Alliance)」を結成している。
第2位は米国のボーイング。1916年に創業した世界最大の宇宙航空機器メーカーで、民間航空機ではエアバス・グループ(オランダ)と世界市場を二分する。ジャンボ旅客機は日本でも有名。一方、売上高で軍事用が36.9%を占めるなど、戦闘機やロケットのメーカーとしても世界屈指の規模を誇る。
サイバーセキュリティの分野にも投資をしているが、2015年1月には傘下のナラスをシマンテックに売却したと
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じている。
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