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  • 2015/02/19 掲載

カメラのキタムラがオムニチャネルを成功に導いた、たった一つの考え方

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写真専門チェーン最大手の「カメラのキタムラ」や子供写真館「スタジオマリオ」を全国に展開しているキタムラ。同社がEC事業をスタートさせたのは10年前に遡るが、今や単体総売上の約3分の1に当たる435億円がEC関与売上(宅配売上+店受取売上)となるまでに成長を遂げた。その躍進を2011年から支えているのが、同社 執行役員でEC事業部長の逸見光次郎氏だ。同氏は、ソフトバンクでイーショッピングブックス(現セブンネットショッピング)を立ち上げたあと、アマゾンジャパンを経て、イオンのネットスーパー事業の立ち上げに携わってきた人物でもある。逸見氏が、EC事業で1,000億円を目指す同社のEC戦略と店舗の成長事例について明かした。

EC関与売上が単体総売上の約3分の1に成長

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(写真提供:キタムラ)

 キタムラは「カメラのキタムラ」として887の店舗を構えるほか、「スタジオマリオ」という子ども写真館を382店舗展開。グループ内の写真ラボ(プリント工場)も埼玉・香川・福岡の3拠点にある。またアップル正規サービスプロバイダとして、42店舗でアップル製品の修理サービスに対応している。

 EC事業に関しては、宅配・店受取が可能な自社サイトと、宅配のみの楽天、アマゾン、ヤフーでのモール店舗を用意。同社の単体総売上は1342億円(2013年度)だが、実はそのうちEC関与売上(宅配売上+店舗受取売上)は約3分の1の435億円にも達する。あまり知られていないが、このEC関与売上はネット販売実施企業のうち9位という位置づけだ。カメラ量販店の同社が、8位のイトーヨーカドーに次ぐポジションにいることは、相当に善戦していると言えるだろう。

 そんなキタムラのECの歴史は、2004年のラボ事業(ネットプリント通販)からスタートした。2007年にはEC専門子会社ピクチャリングオンライン社によってデジカメオンライン本店、その2年後に家電オンライン本店をオープンし、カメラのキタムラの店舗にEC端末も設置。2012年にはピクチャリングオンライン社統合にともなって、キタムラEC事業部が発足し、店頭注文のEC端末はすべてタブレット化した。

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キタムラ
執行役員
EC事業部長
逸見 光次郎 氏
 さらに2013年にはECサイトを一本化し、システム自体も統合した(関連記事:カメラのキタムラ、オムニチャネル戦略を支えるポータルサイトを新CMSで構築)。「イーコマースEXPO2015東京」に登壇した 執行役員でEC事業部長の逸見光次郎氏は次のように説明する。

「EC事業部を発足した際に、EC事業部と本部も、システム担当、販促チーム、商品チーム(バイヤー)、コールセンターなどで連携し、本部と一体となって店舗を支援することにした。今後は未着手のEC/店舗物流の最適化とマーケティングの統合を図り、さらなる店舗の活性化を目指していく」(逸見氏)

 キタムラのECの仕組みを細かく見ると大きく3つの流れがある。

 まず「家注文(ネット注文)→宅配受取」の流れ。これはネットで注文を受け、宅配で届ける一般的なものだ。現在、アマゾンなどのモールから注文が100億円、キタムラネットショップ本店からは45億の受注があるという。

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 ちなみにキタムラネットショップ本店の受注は、ユーザーが宅配か店受取を選択でき、店受取の場合は2つ目の「家注文(ネット注文)→店受取」のケースとなる。ここでは145億円の受注があり、売上は各店舗に計上される。

 そして3つ目の「店注文→店受取」では、店員のタブレットから注文を受け、メーカーに発注し(店舗・倉庫、近隣店舗に在庫があれば発注不要)、来店して商品を受け取るケースだ。こちらも145億円の受注がある。「このようにキタムラでは、ネットからも店受取の注文が入るため、社員が出社したら店には売上が上がっている状態だ」(逸見氏)。

「注意しているのは、我々のEC事業はあくまで店受取を増やしていくための施策という点だ。カメラは高額商品のため、やはり実店舗があることは大きな強味となる。全国の実店舗から安心してネット注文でき、また店頭での受取りも実際に手に取って確めて持ち帰りたいという要望も強い。そこで店頭で専門店のサポートやアドバイスを懇切丁寧に行っている」(逸見氏)

 このように直営専門ならではの“人間力EC”によって店受取を増やし、価格競争でなく、サービス競争で戦っていくのが、まさにキタムラ流なのだ。

【次ページ】“人間力EC”を活用するキタムラの3つのオムニチャネル施策

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