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  • 2015/06/12

サントリー 辻村英雄氏「また会いたくなる人になる~ホスピタリティで人脈を広げシナリオを書く」

日本が誇るフェロー・CTOに学ぶノウハウ定義書

フェロー、CTOの高い業績の背景には、独自の考え方、思考・行動の原則=ノウハウがある。これらのノウハウには、企業の創造力、イノベーション力を高めるパワーがある。そして、日本を元気にするヒントがある。本連載では、フェロー、CTO自身に、自らのノウハウを語っていただく。第15回は、サントリーホールディングス 専務取締役 知的財産部・R&D部門担当 辻村英雄氏に聞いた。辻村氏は、生産技術からキャリアをスタートし、新規事業の立ち上げやヒット商品開発をリードし、現在サントリーグループ全体の研究開発を牽引している。

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

1958年生まれ。大手コンサルティング会社を経て現職。
製造業、情報サービス産業などを中心に、経営戦略、事業戦略、業務革新、研究開発戦略に関わるコンサルティングを行っている。主な著書に、『ダイレクトコミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる研究開発革新』(日刊工業新聞社)、『システム提案で勝つための19のポイント』(翔泳社)、『調達革新』(日刊工業新聞社)、『落とし所に落とすプロの力』(リックテレコム)、『団塊世代のノウハウを会社に残す31のステップ』(日刊工業新聞社)、『ATACサイクルで業績を150%伸ばすチーム革命』(ソフトバンク クリエイティブ)などがある。

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

これまでの連載


また会いたくなる人になる

――セサミンで有名な健康食品事業を立ち上げ、また伊右衛門などのヒット商品の開発や知的財産マネジメントの強化をリードされ、そしてサントリーグループ全体の研究開発を牽引されています。このような高いパフォーマンスを上げるため、日ごろ意識していることはあるのでしょうか。

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サントリーホールディングス
専務取締役
知的財産部・R&D部門担当
辻村英雄氏
【辻村英雄氏(以下、辻村氏)】
研究開発は一人ではできません。多くの人と接し、幅広い知識や気付きを得、また助けもらって初めて成功させることが出来る。そこで、研究者は、人脈が重要なことは当然理解していると思います。しかし、その実践の度合、深さ、そのための努力には、研究者の間で差があると思います。

 社内、そして社外の有識者と、人と人の強いつながりを作り、信頼され、「また会いたくなる相手」になれば、有益な情報を最初にもらえるでしょう。実際、原料メーカーさんと話をしていて、新しい素材研究のことを聞き、そこから共同研究を行うことが出来たり、イノベーションのための気付きを得たということは幾つもあります。それに、人と話して互いに刺激し合い、情報やヒントを提供し合い、相手もそれで喜んでくれれば、それはとても楽しいことです。研究開発には、辛いことも多い。楽しく仕事をすることは重要です。ただし、そのような人間関係を作り、広げ、維持することは簡単ではありません。

――信頼され、また会いたくなる相手になるには、努力が必要な訳ですね。

【辻村氏】
そうです。まず第一は、人を大切にすることです。原料メーカーさんがセールスで来られた時、きちんと礼儀とホスピタリティーをもって臨むことが重要です。取引関係はあっても、互いに知恵を出し合い助け合う仲間ですし、また一歩会社を出れば皆さん当社のお客様です。研究開発者の中には、天才はそういうことが苦手、疎い、それでもいいといった勘違いをしている人がいるかもしれません。それは大間違いです。人を大切に思うこと、対等に付き合うことは、すべての出発点になります。

 飲みに行くのも大いに結構。そういう場で本音が交換できます。信頼も強まる。表層ではない深い情報や背景も聞ける。機密情報を聞くわけではありませんが、表層の人間関係では、表層の情報を、他社と同じタイミングでしか聞けない。これでは差が付きません。より深い、より多面的な情報を、より早く得るには、人間関係は欠かせません。 なお、共同研究をするにしても、WinWinを考える。検討はきちんとして、YesでもNoでも、きちんと伝えることも、礼儀の内です。

――なるほど。先ほどホスピタリティーと言われていましたが、これはどういうことでしょうか。

【辻村氏】
人と人として付き合うには、当然楽しい方がいいですが、ホスピタリティーは おもてなしの意味だけではありません。重要なことは、相手のためになるファクト、助言、意見を提供できる関係です。これが無ければ、長い付き合いは成立しません。

――具体的に、どのような助言をされるのですか。

【辻村氏】
たとえば、ある原料メーカーさんが、業績が上がらず苦労されていました。私から見ると、少し事業や製品の幅を広げすぎているように見えた。そこで、その会社の原点を聞きました。すると、界面活性技術が原点で、そこに大きな強みがあることが分かった。ならば、その強みに集中されてはどうかとアドバイスしました。その会社では、結局原点回帰で界面活性技術に絞り込み、業績回復が出来ました。もちろん先方の決断と努力があったからこそですが、こちらとしても大変うれしいことです。

――なるほど。しかし、常に助言や意見を言うのは大変ですね。

【辻村氏】
大変です。飲み会の席でさえ、相手の悩みが分かれば、楽しくおしゃべりしながら必死で助言を考えている。幅広く本を読み、色々な人の話を聞き、情報の波打ち際に身を置き、深いところまでは分からなくても何が問題か理解できるまで、相手方に関する知識を身に付けなければならない。これを常に心がければ、いろいろな分野の問題に対して解決を考える能力が高まりますし、助言をして相手が喜べば、それが自分の喜びになります。

――それをお酒の席でも励行するというのは、さすがですね。他にポイントはありますか。

【辻村氏】
自分の弱みや欠点をさらけ出すことも重要だと思います。そうすれば相手は心を開いてくれる。相手も、自分の抱えている問題を言ってくれます。こういう中で、信頼関係が徐々に積みあがってくると思います。

【次ページ】信念が努力を継続させる

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