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  • 2014/08/01

日本が誇るフェロー・CTOに学ぶノウハウ定義書 「広い興味で楽しく仕事をする」竹中工務店

竹中工務店 常務執行役員 髙橋紀行氏

フェロー、CTOの高い業績の背景には、独自の考え方、思考・行動の原則=ノウハウがある。これらのノウハウには、企業の創造力、イノベーション力を高めるパワーがある。そして、日本を元気にするヒントがある。本連載では、フェロー、CTO自身に、自らのノウハウを語っていただく。第12回は、竹中工務店 常務執行役員 髙橋紀行氏に聞いた。髙橋氏は、研究者として建築室内空間の気流解析技術を確立しドーム建設に適用するなどの高い業績を上げられ、その後、技術研究所の所長として研究開発部門をリードしてきた。

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

1958年生まれ。大手コンサルティング会社を経て現職。
製造業、情報サービス産業などを中心に、経営戦略、事業戦略、業務革新、研究開発戦略に関わるコンサルティングを行っている。主な著書に、『ダイレクトコミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる研究開発革新』(日刊工業新聞社)、『システム提案で勝つための19のポイント』(翔泳社)、『調達革新』(日刊工業新聞社)、『落とし所に落とすプロの力』(リックテレコム)、『団塊世代のノウハウを会社に残す31のステップ』(日刊工業新聞社)、『ATACサイクルで業績を150%伸ばすチーム革命』(ソフトバンク クリエイティブ)などがある。

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

これまでの連載


コミュニケーションが研究所の価値を高める

――研究者時代には、東京ドームや福岡ドームなどの大空間を支える気流解析などの高い業績を上げられ、またマネジメントになられてからは、研究開発部門を率いて現業部門への貢献を続けてこられました。このような高いパフォーマンスを上げるため、日ごろ意識していることはあるのでしょうか。

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竹中工務店
常務執行役員
髙橋紀行氏
【髙橋紀行氏(以下、髙橋氏)】
仕事は楽しくなければならないと思っています。自分たちの技術が使われ、建物として結実すれば大きな喜びが得られます。このような喜び、楽しさが無ければ、熱意を維持して研究テーマに取り組むことは難しいでしょう。

――楽しく仕事をすることは、簡単ではないですよね。

【髙橋氏】
私は技術研究所の所長になってから、研究所が現業部門に貢献するために、短期と中長期テーマのバランスを取り、自分たちの技術をお客様や社内他部門にPRし、技術のレベルを客観的に知るために発信することを奨励してきました。これは自分自身で心掛けてきたことです。

 技術研究所は、中長期テーマと共に、現業を支援する短期テーマに取り組んでいます。短期テーマは、当然短期で成果が得られます。特に当社のような建設会社では、自分たちの技術が巨大な建物として結実しますから、達成感は大きい。これは、中長期テーマを進める中で、モチベーションの維持に、また別の新たな視点を得る機会にもなります。当社が進めている「人にやさしい空間」や「耐火木造構造」など市場に大きな影響を与えるテーマは、スタートして実際に現業で使われるまでに10年程度かかります。その間熱意を維持するのは大変なことです。煮詰まることもある。そのような時に、短期テーマに取り組むと、新たな視点が得られ、気持ちもリフレッシュされ、ふとアイデアが浮かぶことがあります。もちろんその前提として、自分のテーマを、強く思い続けていることが必要です。そうでなくては、アイデアは浮かびません。

 ただし短期テーマは、すぐに他社に追いつかれますから、会社の将来にとっては中長期テーマが重要です。そこで、短期、中長期のバランスをとることが必要になります。これは、各研究員としても大事なことですが、マネージャーの重要な仕事です。

――自分たちの技術を社内他部門や顧客にPRするとは、具体的にどういうことでしょう。

【髙橋氏】
そうですね。当時は、国際会議で招待講演をするなど、自分の担当している技術では相当頑張っていたと思いますが、それだけでは大きな成果は得られません。やはり仕事が楽しくなるのは、技術を開発し、これが使われて、建物として結実した時です。研究員のころ、大空間の気流解析のシミュレーションプログラムを開発していましたが、シミュレーションと模型による実測、その中から得られる実現象の理解を重ねた結果、シミュレーションで算出した気流の渦の中央(台風の目のような無風地帯)が、実際の場所とぴったり合った時など、喜びを感じました。

 そのような楽しさを得るためには、まず自分たちの技術を知ってもらわなければならない。そこで、お客様や社内に対してのPR、コミュニケーションが重要になります。技術研究所は、「R&Dカフェ」という取り組みをしています。お客様に技術研究所に来ていただき、超高層集合住宅や医療など、テーマを決めて当社技術を紹介し、一緒に活用の可能性を議論する仕組みです。このようなコミュニケーションは、当社技術の採用につながるのみならず、お客様の課題を把握したり、お客様との議論の中で新たなアイデアを生み出すなど、効果があります。

――違う分野の人とコミュニケーションし、新しいことを知ることも、楽しさですよね。

【髙橋氏】
そうですね。コミュニケーションは、お客様のみならず、社内他部門との間でも重要です。研究開発は現業に貢献して初めて価値が得られるわけですから、現業が何に困っているかを把握し、現業には自分たちの技術を知って使ってもらうコミュニケーションが必要です。研究員は、専門性が高くなるほど、1つのことに興味が絞り込まれる傾向があります。しかし、垣根を越えて色々な分野の人と話をしないと、新たな発想は生まれません。私が研究員の時代に、雨水が屋根に大量にたまるという問題があり、この現象の説明がつかず悩んでいたことがありました。この時、技術研究所内の風工学の専門家との議論で、これを解決したことがあります。会社の総合力を使うためにも、コミュニケーション、そこで培った人脈が重要です。

 また、そもそも当社は色々な技術を組み合わせるシステムインテグレーターですので、強い分野を持つこととは別に、広い視野、何にでも興味を持つ好奇心が重要になります。

【次ページ】技術の飛躍にチャレンジする

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