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  • 2016/02/04

清水建設 CTO 石川氏のノウハウ「未来洞察力を磨き、問題設定力を高めることが重要」

日本が誇るフェロー・CTOに学ぶノウハウ定義書 第17回

フェロー、CTOの高い業績の背景には、独自の考え方、思考・行動の原則=ノウハウがある。これらのノウハウには、企業の創造力、イノベーション力を高めるパワーがある。そして、日本を元気にするヒントがある。本連載では、フェロー、CTO自身に、自らのノウハウを語っていただく。第17回は、清水建設常務執行役員 技術研究所長 技術戦略室長 石川 裕氏に聞いた。石川氏は、トップとして研究開発をリードするのみならず、地震工学の第一人者として、我が国の地震のハザードマップを作成するなど、社内のみならず社外でも活躍されている。

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

1958年生まれ。大手コンサルティング会社を経て現職。
製造業、情報サービス産業などを中心に、経営戦略、事業戦略、業務革新、研究開発戦略に関わるコンサルティングを行っている。主な著書に、『ダイレクトコミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる研究開発革新』(日刊工業新聞社)、『システム提案で勝つための19のポイント』(翔泳社)、『調達革新』(日刊工業新聞社)、『落とし所に落とすプロの力』(リックテレコム)、『団塊世代のノウハウを会社に残す31のステップ』(日刊工業新聞社)、『ATACサイクルで業績を150%伸ばすチーム革命』(ソフトバンク クリエイティブ)などがある。

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

顧客の時間軸を意識して未来を洞察する

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清水建設
常務執行役員/技術研究所長/技術戦略室長
石川 裕氏

──スーパーゼネコン清水建設の研究開発をリードされ、また国の委託による地震の確率論的ハザードマップを多くの関係者をまとめて作成されるなど、地震工学の第一人者としても活躍されました。このような高いパフォーマンスを上げるため、日ごろ意識していることはあるのでしょうか。

石川氏:先々を勉強する、「未来洞察力」を高めることは、ずっと意識してやってきました。これは、当社研究所の中でも、常に研究者に言っていることです。

 当社は、伝統的に、未来洞察力を磨き、成果を上げてきました。例えばLNGタンクのシェアはトップですが、これは、LNGがエネルギーの中でシェアを高めていくことを予測し、他社よりも早く研究開発を開始した結果だと考えています。スマートグリッドでも、他社に先駆けて研究開発をリードしてきました。

──変化の早い世の中で、未来洞察力は、ますます重要になりますね。

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石川氏:当社の場合、さまざまな業界のお客様と仕事をさせていただいていますが、業界ごとに、お客様が先を見ている時間スケールが違います。食品などは、市場変化のスピードが速く、比較的近い未来を見ていますが、電機はもう少し先、自動車だと10年先、インフラだと50年先などということもあります。そのような多様で広い時間軸を意識して、将来を考えなければなりません。

──未来洞察力は、どうすれば高められるのでしょうか。

石川氏:まず、お客様など社外の方と話をすることが重要です。今は、ネットから多くの情報を得ることができますが、競争相手も同じ情報が見られる。また、ネットの情報は必ずしも新鮮ではありません。お客様も種々の悩みをお持ちですので、お客様の所に行って、話を聞き議論する中で、先を見るヒントが得られます。

 水素社会やIoTなど、今後どうなっていくか考えなければならないテーマがどんどん増えています。そのようなテーマに関連するお客様の所で議論すれば、各社がどのように将来を見て、何を準備しようとしているか、ある程度分かります。それらの知見を合わせれば、自信を持って自社として将来の見方を定め、行うべきことを明らかにできます。

 それと、よい意味で図々しくならなければいけない。何気ない会話の中にも重要なヒントはたくさんあるので、おとなしくしていてはダメです。学会でも、MOTの異業種交流会でも、どんどん中に入って行って、名刺を交換して議論を交わす。このようなスタンスが重要です。

 もっとも、今後は、ネットやSNSを駆使した、次世代の情報収集や議論の方法が生み出されていくかもしれません。人と会って話をすることは重要ですが、新しい方法も意識していく時代になってきたのではないかと思います。

──なるほど。方法はこれから様変わりしていくかもしれませんが、お客様との議論が重要だと。他に、未来洞察力を高めるために重要なことはあるのでしょうか。

石川氏:私は、若い時からビジネス書、ビジネス誌を興味を持って読んでいましたが、そこで得た知見や最新トレンドが、お客様と話をする場合に役に立っています。

 技術はビジネスで活用されて価値を生み出します。ビジネスの方向性を理解していないと、ビジネス上の悩みと技術をつなぐことが難しくなるとともに、お客様との会話も進展しません。ビジネスの知見やタイムリーな情報を身につけておくのは必須です。

 もう一つ、自社の現場の最前線に行くことも必要です。現場に行けば、お客様の悩みや先端技術の使い方を別の角度からみることができます。これが、自らの視野を広げ、また社外において相手にも価値ある情報を提供してギブアンドテイクの議論をすることに役立ちます。

──いろいろと、努力が要りますね。

石川氏:現在は、業界がボーダレス化しています。住宅市場に家電メーカーが参入したり、建設業界でも、例えばインフラの診断に電機メーカーがICTを用いて進出しています。このような時代では、新技術の開発やイノベーションのためには他の業界と連携して一緒に進めることが必要になります。そのときに、自社に光る技術がなければ、主導権、優位なポジションを得ることができません。未来洞察力によって、キーとなる技術を高めておくことが、今後ますます重要になるのです。

【次ページ】 研究者一人ひとりの洞察力が知的生産性を高める

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