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- 2015/06/02 掲載
安倍総理が2015年ダボス会議で語った、4つの約束を振り返る
竹中 平蔵氏が解説
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リスクファクター最多の年ながら世界経済は緩やかな回復に
2001~2004年まで経済財政政策担当大臣や金融担当大臣などを務め、郵政民営化や不良債権処理に取り組んできた慶応義塾大学 総合政策学部教授 竹中 平蔵氏。2015年2月に開催された楽天金融カンファレンス2015に登壇した同氏は、同年1月に開催されたダボス会議を振り返り、「雰囲気は非常に楽観的だった」と明かした。
「フランス大統領が先般のテロについて怒りを表明、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が世界の経済格差に警鐘を鳴らすなど、日本の報道では危機感を煽る内容が大半を占めたが、2008年9月のリーマンショック直後の会議と比べれば楽観的に感じた。少なくとも、世界経済は昨年から今年にかけて緩やかな回復過程にあるという認識があるのだと思う」(竹中氏)
IMFの「世界経済見通し(WEO)」では、2014年の世界経済の成長率は2013年と変わらず平均で3.3%だが、2015年は3.5%の見通しと発表された。
「安心感の大きな拠り所は、アメリカ経済。2008年以降、アメリカ経済は2014年の2%成長ラインから3%成長ラインになり、世界経済を牽引するとエコノミストの多くは予測している」(竹中氏)
ただし、これはあくまでも基本シナリオであり、基本シナリオには留保条件がある竹中氏は「今年ほどリスクファクターの多い年はない」と語った。その理由は次の通りだ。
たとえば昨年末、サウジアラビアに並ぶ原油産出国であるロシアでは原油価格が大幅に低下、主要政策金利を10~17%に上げざるを得ない事態に陥った。
また、アメリカでは金融の量的金融緩和が終了し、金利も上昇した。竹中氏は「出口対策としては必要なプロセスだが、タイミングを失するとリスクファクターになりうる。そもそも米国の金利が変わるということは、ドル建て資産の利回りが変わるという意味。為替レートが世界的に変化し、発展途上国に影響が及ぶと予測される」と説明した。
基本シナリオが悪化することはないが、リスクファクターに目配りしながら経済を考えなければならない、そんな状況にあると竹中氏は言及した。
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