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  • 2015/12/07 掲載

日本マイクロソフトは平野社長になって何が変わったのか? 注力する3つの分野とは

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2015年7月、新たな会計年度の始まりと同時に日本マイクロソフトは15年ぶりに会長職を設け、ツートップ体制に移行した。これまで社長を務めてきた就任7年目の樋口 康行氏は会長職、副社長だった平野 拓也氏が代表取締役社長に就任した。こうした新体制を敷いた日本マイクロソフトは、今後パートナーやユーザー向けにどんな戦略を採っていくのか? 平野社長、樋口会長が同社の戦略、および注力ポイントを語った。また平野社長、樋口会長が語った内容を実現する最新のソリューションについて、西脇 資哲氏がデモともに紹介した。

フリーライター 中村 仁美

フリーライター 中村 仁美

大阪府出身。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在は主にIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。ネコと歴史(古代~藤原時代、戦国時代)好き。

クラウドビジネスが加速するマイクロソフト

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日本マイクロソフト 取締役 代表執行役 社長 平野 拓也氏

 少子高齢化が進み、労働人口の減少が懸念されている日本では、企業情報システムにおいて、クラウドの活用は不可欠となっている。企業を取り巻く環境の変化に伴い、ITベンダーもクラウド中心のビジネスモデルへと変革が迫られている。こうした中、日本マイクロソフトでは、トップが交代。前社長の樋口 康行氏は会長に、新社長に平野 拓也氏が就いた。新体制の日本マイクロソフトは、どのようなパートナー戦略を採り、ビジネス変革を推進しようとしているのか。9月に開催されたイベント「FEST2015」で、その二人が登壇した。

 最初に登壇した新社長の平野氏は、日本マイクロソフトにおける昨年1年間のトピックスとして次の3点の話題を挙げた。1点目は「クラウドビジネスの加速」である。それは同社が日本の東西2か所にデータセンターを設置し、14年2月にMicrosoft Azure、12月にOffice365、15年3月にDynamics CRM Onlineという3つのクラウドサービスの提供を開始したことからもわかる。

 2点目がワークスタイル変革の推進である。同社ではワークスタイルの変革例として品川オフィスをショーケース化し、お客様やパートナーに披露しているという。

 3点目はサイバーセキュリティ対策である。「今年に2月にサイバークライムセンター日本サテライトを開設した」と平野社長。マイクロソフトはアメリカ国防総省本庁舎に次いで多くのサイバー攻撃にさらされているため、早くから積極的にサイバーセキュリティ対策に取り組んでいるという。

 次に平野社長が挙げたのが「Surfaceに代表される2in1デバイスへの反響が大きいこと」だ。たとえばSurface Pro3はPro2に比べるとその引き合いは「コンシューマで25倍、コマーシャルの方でも約7倍もあった」と言う。  また、マイクロソフトのCEOがサティア・ナデラ氏へと変わったことで、よりオープンで親しみやすいWindowsへと変わり、その結果、「変革のスピードがアップした」とお客様から好評を得ていると平野社長は言う。そして日本マイクロソフトの社長が平野氏へと替わったことも1つの大きな変化だ。「これまで以上にお客様の期待に応えられるよう、革新的で親しみやすく安心でき、喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供していく」と宣言した。

日本マイクロソフトが注力する3つの分野とパートナー戦略

 日本マイクロソフトが現在、重点分野として挙げているのは次の3つ。第一は「プロダクティビティとビジネスプロセス」。マイクソフトはこれまでもOfficeという製品群を提供し、生産性を高める提案をしてきたが、これからは「ワークスタイル改革のリーディングカンパニーとして積極的に進めていきたい」と語る。

 たとえば同社では毎年、テレワーク週間を設け、オフィスではないところで働くことを実践している。同社1社で始めた試みが、昨年度は32社、そして今年は651の組織・企業が参加したという。このような先進的な取り組みが認められ、日経BP社の日経BPコンサルティングが発表した「ワークスタイル改革を支援する代表的なIT企業」の第1位にマイクロソフトが選ばれたという。

 第二は「Windows10+デバイス」。「Windows10がリリースされて約1か月たったが、好評を博している。今後はタブレット、スマホ、ウェアラブル、IoTなどさまざまなデバイスに注力していきたい」と平野氏は自信をのぞかせる。第三は「インテリジェントクラウド」。「これからのクラウドはコスト削減ではなく、どんな付加価値を出せるかが求められる。そこに注力していきたい」と平野氏は語った。

 またパートナー向けの注力施策についても、次の3つを挙げた。

 第一は「クラウド事業立ち上げ支援」である。IDCのグローバルな統計調査によると、クラウドの売り上げが50%以上ある企業はそれ未満の企業に比べ、新規顧客の獲得が1.3倍、売り上げ増加率が1.4倍、利益の増加スピードも1.5倍となっているという。つまりクラウド事業の確立こそ、パートナー企業の高い収益性が確保へとつながるというわけだ。立ち上げ支援として、同社ではCSP(クラウドソリューションプロバイダ)プログラムを拡張し、サポート体制を強化。「Azure、Office365への質問に関しては、新規パートナーでも気軽にお問い合わせできるような相談窓口を強化していく」と平野氏。またAzureメンタープログラムも用意するという。

 第二の施策が「販売重視から利用価値重視へ」。これからはソフト売りやハード売りではなく、クラウド売りとなっていく。クラウドは利用して初めて価値が出る。そこでパートナー向けの分析ポータルを用意し、「お客様のクラウドの利用状況が分かるデータを提供していく」と平野氏。また8月1日より商品ベースではなく、消費ベースでの新しいインセンティブへと変更も行った。

 第三は「アプリによる差別化」。今後、クラウド化が進むことで、ISV、SaaSベンダーが増えて行く。そこで同社ではISV Hubというポータルサイトを用意し、ISVビジネスを展開するための情報提供を行っていくという。また技術提供やビジネス支援、いろいろな情報を出していきたい。またISV様専用の部隊を設置。「できる限りの支援をしていく」と力強く語った。

【次ページ】 日本が抱える2つの課題に積極的に取り組む

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