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  • 2016/01/20

都市ガスの小売り自由化、仙台市や大津市などの公営ガスが頭を抱える理由

電力に続いて、都市ガスの小売り全面自由化が、2017年4月にスタートする。全国3,000万近い利用者を抱える市場の開放に、電力会社をはじめ、多くの異業種企業が参入の構えを見せる中、注目を集めているのが、地方自治体が運営する公営ガス事業だ。自由化後は民間事業者と同じ土俵で競争を強いられる。地方で自治体の信用は絶大とはいえ、お役所仕事では厳しい競争を勝ち抜けるわけがない。都市ガス、電力大手など新たな競合相手とどう戦うのか、それとも民営化に踏み切るのか、1年後の自由化を前に苦悩を深めている。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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2017年4月、都市ガスの小売り全面自由化がスタートする

ガス事業者の1割強が公営

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 資源エネルギー庁によると、都市ガスの市場開放は1995年から段階的に進められてきたが、2017年の小売り全面自由化で最後に残った家庭用など小口利用者への規制が解除される。

 これにより、これまで地域ごと200社強のガス事業者だけに認められてきた小口販売が、自由競争の新時代に入ることになる。さらに、5年後の2022年には大手都市ガス3社の導管分離も予定されている。

 2014年度の都市ガス販売実績は全国約371億立方メートルで、2,973万の家庭、事業所が利用している。都市ガス事業者は全国に200以上あるが、そのうち、1割強の26社が公営だ。東日本の降雪地帯に多い。

 公営ガス事業は1960年代に天然ガスの開発が進んだことを受け、全国で多くの自治体が参入した。ピーク時の75年には75の自治体が運営していたが、民営化に踏み切るところが相次ぎ、減少した。

 総務省の2013年度実績集計によると、当時28あった公営ガスのうち、黒字が23自治体、赤字が5自治体となっている。しかし、人口減少が進む過疎地域を中心に売り上げの減少傾向が進んでいる。

国内の主な公営ガス一覧
公営企業名所在地顧客数年間販売額
仙台市ガス局宮城県仙台市34万7,008件375億8,125万円
男鹿市企業局秋田県男鹿市1万326件7億4,713万円
にかほ市ガス水道局秋田県にかほ市5,322件4億6,901万円
由利本荘市ガス水道局秋田県由利本荘市8,263件11億1506万円
習志野市企業局千葉県習志野市6万9229件70億6365万円
柏崎市ガス水道局新潟県柏崎市2万8,182件31億7,819万円
上越市ガス水道局新潟県上越市4万6,468件59億6,600万円
魚沼市ガス水道局新潟県魚沼市7,842件11億1,714万円
金沢市企業局石川県金沢市6万4,796件76億1,181万円
福井市企業局福井県福井市2万5,111件34億6,851万円
大津市企業局滋賀県大津市10万634件180億7,191万円
松江市ガス局島根県松江市1万3,771件15億8,748万円
(出典:各自治体2014年度実績、松江市のみ2013年度)

 公営ガス事業は、自治体が持つ高い信頼と比較的安い料金が利用者に喜ばれていた。だが、全面自由化となれば、価格とサービス両面での競争が激化することは十分に予想できる。1年先に全面自由化される電力など他のエネルギーとの競争も激しくなりそうだ。

 民間会社なら、価格設定や事業の拡大を状況に合わせて柔軟に対応できる。しかし、公営ガスだと国の規制がなくなっても、予算や料金の変更に議会の承認が必要になるほか、域外供給やガス以外への事業進出にも制約が出てくる。このため、将来像について否応なく見直しを迫られているわけだ。

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