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  • 2016/04/12

ディープラーニングはカスタマーサービスを変えるのか? データで体験をデザインせよ

「XPD(Experience Design)」は、ロフトワークが「体験をどうデザインするか?」をテーマにシリーズで開催しているイベントだ。最先端の研究開発や企業における事例などを交え、次のUX(ユーザーエクスペリエンス)およびCX(カスタマーエクスペリエンス)をさまざまな角度から探る試みで、これまで4回開催されている。その第5回「XPD2016 SPRING」が、3月24日、25日に行われた。

フリーライター/エディター 大内孝子

フリーライター/エディター 大内孝子

主に技術系の書籍を中心に企画・編集に携わる。2013年よりフリーランスで活動をはじめる。IT関連の技術・トピックから、デバイス、ツールキット、デジタルファブまで幅広く執筆活動を行う。makezine.jpにてハードウェアスタートアップ関連のインタビューを、livedoorニュースにてニュースコラムを好評連載中。CodeIQ MAGAZINEにも寄稿。著書に『ハッカソンの作り方』(BNN新社)、共編著に『オウンドメディアのつくりかた』(BNN新社)および『エンジニアのためのデザイン思考入門』(翔泳社)がある。

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DAY1の会場、六本木アカデミーヒルズ オーディトリアム

「Data × Design」で新たな体験を

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 第5回となる「XPD2016 SPRING」のテーマは「Data × Design」。IT技術の進化で、いま世界ではさまざまな「デジタル化」が起きている。その中でサービスや体験をどうデザインするのか? XPD2016 SPRINGは、学びをインプットするカンファレンスのDAY1、そしてワークショップ形式で学びをアウトプットするDAY2の2日間に渡って行われた。

 DAY1のカンファレンスでは、日本交通 代表取締役会長 川鍋 一朗氏、ディー・エヌ・エー アナリティクスアーキテクト 濱田 晃一氏らのセッション、およびパネルディスカッション、そしてDAY2のワークショップへの導入として、レノボ・ジャパン 代表取締役社長 兼 NECパーソナルコンピュータ 代表取締役 執行役員社長 留目 真伸氏、デンソー 技術企画部 DP-Robotics 担当課長 磯貝 俊樹氏、Humanyze CoのFounder, President, and CEO Ben Waber氏らのセッションが行われた。

 ここでは、タクシー業界で初めてITを積極的に活用した事業を展開している日本交通の川鍋氏、ディー・エヌ・エーの巨大なソーシャルプラットフォームにてデータマイニング・機械学習によるサービス開発を行う濱田氏、ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋氏が登場したパネルディスカッションの様子を中心に紹介する。モデレーターはロフトワークの君塚美香氏。

ディープラーニングを日常の体験にどう落とし込むか

 パネルディスカッションは、諏訪氏の「たとえばタクシーという業態の中に、ディープラーニングが入ってくると何が起こるんだろう?」という発言から始まった。

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ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋氏

 タクシーの中でのお客側のアクションは「乗る」、「行き先を伝える」、「目的地についてお金を払う」とある程度パターン化される。パターン化された部分というのはディープラーニングが効果的に活用できる。要は、ディープラーニングを取り入れることによって、サービスを提供する側のアクションとお客側の体験はかなり変わるのではないかということだ。

ディープラーニング:
「機械学習」の手法の1つ。システムがデータの特徴を学習し、対象となる事象の認識や分類を行う。

 濱田氏は、自身は直接自動車系のところに関わっていないが、その前提で技術的なところで話すとして、「ディープラーニングと強化学習というワークで、どういうふうにアクションをとればいいのかというのも学習できるようになっている」という。

強化学習:
試行錯誤を通じて環境に適応する学習を指す。

濱田氏:ディープラーニングと強化学習を活用することによって、運転系の制御ができるようになったり、客の行き先の予測ができるようになったりするので、交通状況の把握など、ウェブの情報なども用いて活用のしようはあります。そういう形で、一人で把握しきれないような情報も処理して活用できるというのはあり得ると思います。ただ、それをドライバーに伝えるという形になるのか、それとも道路の制御という形で活用するのか、いくつか選択肢があります。テクノロジーとしては、そういったところはトライできる余地があると思います。

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左:ディー・エヌ・エー アナリティクスアーキテクト 濱田 晃一氏
右:日本交通 代表取締役会長 川鍋 一朗氏

 それに対し、川鍋氏は「ディープラーニングまでいかなくても、いくつかの基本的な情報のところだけでも認識できれば、顧客の体験は確実に変わる」という。日本交通では、iPhoneアプリでタクシー配車システムを提供している。しかし、アプリを活用して乗っているのは全乗車の中の10%くらいだという。そのほか電話が2割。その際、運転手には名前と迎えの場所しか伝わっていない。

 そうなると、よりよいサービスを提供しようにも、「○○様、ありがとうございます」くらいしか言えない。もっとリッチな情報を伝えようとすると、付いているカメラで画像認識して顧客情報を引き出そう、ではカメラの解像度は? 認識するエンジンは? 通信量はどうなのか、と途端に非現実的な話になってしまうという。

川鍋氏:ウェブでは、技術で解決できることが増えていって発展していくと思います。しかし、ウェブと現実がつながらない。二極化しているんです。どちらかが手を差し出して、手を携えていかないと、ウェブと現実がどんどん離れていってしまうと思います。

諏訪氏:そこは大きいですよね。日常的に朝起きてから夜寝るまで、ディープラーニングが自分の生活の中に入ってくることで劇的に改善される体験があるかと考えても、なかなか見つけられない。いずれは入ってきそうだなと思いますが、なかなか体験に落ちてこない。

 川鍋氏は「ネット上にない情報を集めるというところがまだできていなくて、そこをやろうとするとけっこう難しいということがわかってきた」という。運転手のサービス状況をモニタリングしたり、音声認識で運転手の挨拶の状況が把握できないか試行錯誤しているが、リアルなデータはノイズも多く、集めるのが難しいのだ。

川鍋氏:試行錯誤中なんですが、新しいデータをとるのは結構難しい。とりあえず、ありもののデータからやろうかという段階です。

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左からロフトワーク 諏訪氏、ディー・エヌ・エー 濱田氏、日本交通 川鍋氏

【次ページ】ディープラーニングを活用する際の2つのポイントとは

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