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2016年04月14日

電子政府先進国のエストニア首相が語る 「日本のマイナンバーは潜在能力を秘めている」

エストニアは、人口は約130万人で東京都の約10分の1、国土面積は約4.5万平方キロメートルで、九州と同程度の小国だ。同国はすべての行政サービスを電子化し、いつでも、どこでもインターネットを通じて国民が利用できる仕組みを構築した。マイナンバーの運用を開始した日本にとって、エストニアから学ぶべきことは多い。15歳以上の国民全員に付与される「Digital IDカード」や外国人向け電子居住サービス「e-Residency」など、エストニアの電子政府化の取り組みをターヴィ・ロイヴァス首相が紹介した。

執筆:鈴木 恭子

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エストニア共和国 首相 ターヴィ・ロイヴァス氏

エストニアの電子政府化の取り組み

 1991年にソ連(当時)から独立したエストニアは、「国全体がリブートしたような状態」だった。われわれは「デジタル化によるニューエコノミーの実現」を国家目標に掲げ、官民一体となって邁進してきた。その結果、起業率は欧州一を誇り、デジタル国家としての地位を確立しつつある。本日はエストニアの取り組みを、ぜひ日本の皆さんと共有したい――。

 そう語るのは、エストニア共和国の首相であるターヴィ・ロイヴァス氏だ。同氏は、2015年4月7日と8日の2日間、東京都内で開催された「新経済サミット2016」の基調講演に登壇。15歳以上の国民全員に付与される「Digital IDカード」や外国人向け電子居住サービス「e-Residency」など、エストニアの電子政府化の取り組みについて紹介した。

 バルト海に面したエストニアは、人口が東京都の10分の1となる130万人で、国土面積は九州と同程度の小国だ。国土の50%が森林であり、天然資源は乏しい。そんな同国が独立後20年間でデジタル大国に成長した背景には、旧ソ連時代に設立されたIT研究所(サイバネティクス研究所)が、同国内にあったためと言われている。

 ロイヴァス氏は、「(デジタル化による)ニューエコノミーの実現は、小国にとって(世界に)パンチを効かせる有効な手段であり、21世紀に成長する大きな力になる」と力説する。例えば、無料通話アプリのSkypeは、エストニアで開発されたものだ。

「今やSkypeは世界中の人が毎日利用するツールに成長した。政府の使命は、こうした起業家がビジネスを成功させられるよう環境を整備することだ」(ロイヴァス氏)

エストニアの行政サービスはいかにして実現されたか

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 エストニアでは現在、ニューエコノミー実現の四本柱として「主権と国家安全保障」、「(デジタル化による)ビジネス環境の整備」、「インフラの整備や技術(スキル)の開発による電子政府の実現」、「デジタルリテラシーの向上」を掲げている。

 中でも注目したいのが、政府主導のビジネス環境の整備と電子政府の実現だ。エストニアでは2002年、15歳以上の全国民に対し「Digital IDカード」を配布した。これは、ICチップ搭載の電子式カードで、氏名や生年月日、11ケタの国民ID番号が記されている。ICチップにはインターネット認証とデジタル証明書情報が記録されおり、インターネットを介して本人確認をしたり、行政手続きをしたりすることができる。つまり、エストニアではすべての行政手続きを、インターネット上で完結できるのだ。ロイヴァス氏は「これによりペーパーレス化はもちろん、スピーディーな行政サービスで、国民の利便性も大きく向上した」と胸を張る。

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「Digital IDカード」(画面左)を披露するロイヴァス氏。クレジットカードと同じ大きさで、現在の配布枚数は120万枚。15歳以上のほぼすべての国民が保持しているとのことだ


 さらにDigital IDカードは、政府機関だけでなく、バスや鉄道などの公共交通機関の利用やネットバンキングの本人確認、携帯電話の契約といった民間セクターの認証にも利用できる。

 こうしたデジタル化を下支えしているのが、「X Road」と呼ばれるデータ交換のためのプラットフォームだ。X Roadには行政機関だけでなく、民間企業もアクセスできる仕組みとなっている。アクセスするためには、やり取りするデータを暗号化し、タイムスタンプを付与するといった、データセキュリティを担保するサーバを導入する必要があるが、現在では、官民合わせて3000以上のサービスが、同プラットフォームを利用しているという。

【次ページ】エストニア首相「日本はマイナンバーのメリットに目を向けよ」

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